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地味な女の子の勇者騒動  作者: 国見炯
誤解召喚(完)
12/27

誤解召喚・6




 三時のおやつは無事終了ー。

 固まるチートたちはおやつを食べ終わるまで待ってくれたし、副委員長は食後の紅茶を煎れてくれた。何処からお湯とかティーカップを取り出したかとか色々と謎が残るけど、それはチートだからね!



「なんかお迎えが来てくれたから帰るね。ありがと! ご飯とかおやつとか美味しかった!!」

 本当に助かったと言えば、何でか小人さんたちは浮かない表情を浮かべてる。

 何だろう??

「ど…」

 うしたの?と言おうとしたんだけどね。緑化委員が私の身体を持ち上げて後ろへと下がって、委員長が小人さんたちと向かい合う。


「あら」


 副委員長は相変わらず笑ってるし。

 どうしたのかなー、なんて緑化委員を見上げてみたんだけど、何を勘違いしたのか脇の下に手をさしこむようにして持ち上げてた体勢をお姫様抱っこに変えてねっ。


「…体勢じゃなくて、なんでこんな感じになったのかなって説明をしてほしいというかね」

「リョウがいなくて寂しかったからだ」

「う~むぅ?」

「ナオに任せておけばいい」

 どうやらまったく譲る気のない緑化委員は、言い終えると私から視線を外して委員長と小人さんたちの方へと移した。



「はるちゃんに何か用? あ、助かったんだよ。本当にそれについては感謝してるんだけどさー。感謝はしててもこの世界とはるちゃんを関わらせたくないんだよねー」


 おぉ。目が据わってる委員長。

 いつものエセスマイルはどうしたんだろうねっ。


「あの城で何があったかは何となくだがわかる──が、扉を閉めてほしいんだ!!」


 おー。委員長の迫力に負けじと赤い小人さんが頑張る。


「別に扉が開いた影響は感じなかったけど?」


 あー。魔物とかいうヤツはいなかったよね。


「魔物を生み出す扉じゃないからだ」


 へぇ。扉も色々な種類があるんだー。


「それじゃ、何の扉なのかなー?」


 委員長はエセスマイルでも笑ってる方が平和だよねー。無駄に威嚇し過ぎっていうか、小さな小人さんたちを威圧してもっていうか、恩人さんを脅さないで欲しいなぁ、とかね。


「……身体に影響を与える扉だ。人、以外が主に被害を受けている」


 人以外かー。身体に影響与えるって怖いよね。どんなのがあるんだろ??


「へぇ。それをはるちゃんに閉めてほしいって?」


 目を細める委員長はある意味様になるよね! 地球でもその顔したら別のファンでも開拓するんじゃない?


「この世界の扉は、一回扉を閉めた者にしか閉められないんだ! 頼む!!」


 叫ぶと同時に、小人さんたちが一斉に土下座をした…。

 って土下座!?

 私のご飯の恩人なのにっっ。



「ふふ。遼さん。全部声に出てますわ?」


「ほぇ?」

 後ろで見てたはずの副委員長が、いつのまにか私の横に立って教えてくれる。どうやら全部声に出ていたらしく、小人さんたちと向かい合っていた委員長も、土下座をした小人さんたちもチラリと私を横目で確認するというかね。

 なんか居た堪れない空気に晒されて、私は副委員長の服で顔を隠させてもらった。


「……俺の胸に顔を埋めるという選た…」


「はるちゃん。ちょっとはシリアスな空気にさせといてよ。これでもさー。かなり心配したんだよ?」


 緑化委員が何かを言ったような気がするけど、それよりも委員長の声が部屋中に響いた。心配ってまさか。

「私がいなくなってからどれぐらい経った??」

 前の時と一緒の感覚でいたけど、あの時は皆がいたから時間差は無しで帰れたんだよね。

「半日ちょっとかな。学校に来なかったからね」

「遼さんのお家の事は大丈夫ですわ。ふふ。手配済みですから~」

 副委員長が、私が一番心配してる事を教えてくれた。

 良かった。それを聞けば一安心っていうかね!


「…とりあえず、俺たちがリョウを守ればいいだろう? 目の前にいれば守る事は難しくはない」

 ホッとしてたら、緑化委員がまとめ的な事を言ってくれた。

 どうやら、緑化委員は扉を閉めてさっさと帰ればいいって感じなのかな??


「そうなんだけどさー。っつーかさ、ヒコも怒ってたのに何でそんなにあっさり?」

 納得がいかないのか、委員長の眉間には少しだけ皺が寄ってる。

「手助けはリョウが望む事だ。命の恩人というなら、ここできっちりと清算しておけばいい」

 そんな委員長に、緑化委員がはっきりと言い切る。そりゃ食事の恩人だよ? そんな恩人に頼まれたら扉ぐらい閉めなきゃっていう気になるんだけどね。

「あぁ。これでお互い様。今後はるちゃんに絡んでくれるなとかそういう感じ?」

「俺たちのいない所で呼び出されたくないからな」

「おっけー。というわけで、扉の位置は…」

「場所の特定は済んでますよ~」

 副委員長が当たり前のように言葉を付け足す。

 どうやら二人が話しこんでる間に場所の特定とかをしたらしいんだけどさ。

 あれ?

 何か、知らない間にどんどんとチート集団の間で話しが進んでってるよね。

 しかしどうやって扉の位置の特定を済ませたかわからないけど、チートは半端じゃないよね。小人さんたちがまったく話しについていけないけど仕方ないよ。

 だってチート集団だからね!

 慣れてない人たちにはやっぱ吃驚だよ!!




「じゃ、転移開始ー」


「ふふ。範囲指定。さぁ、まいりましょう」


 委員長から風が流れてきたかと思ったら、一瞬で目の前が真っ暗になった。何か副委員長の身体から出ているんだけどね。

 小人さんが漆黒の王が、なんて言ってるのがちょっと気になるかなー。

 森の王とか漆黒の王とか、王って言う言葉好きだよね。


「でも副委員長は綺麗だし漆黒よりは純白の王様だよねー」


 副委員長はいつもお菓子をくれて紅茶を煎れてくれて、一緒に買い物に行ってくれるいい人なんだよ!


「うふふ」


「「「………」」」


 その場に、副委員長のいつも通りのおっとりとした笑い声が響くと同時に、何でか委員長と緑化委員と、小人さんたちまで口を噤んで視線を副委員長から外した。


「うな??」


 副委員長だよ。純白の方が似合うのに!

 そんな私の憤りをわかったのかどうなのか、副委員長が転移を開始する前に私の顔を覗き込むようにしながら微笑を浮かべた。


「遼さん。彦実さんと直雅さんにしっかりと捕まっていて下さいね~」


「わかってるよ。二人を前面に押し出せばいいんだよね! でもさ、それよりも副委員長ー。副委員長は黒より白だよねー。なのに何でまた固まっちゃったの??」


「うふふ。遼さんが無事で安心したのが今頃きたんですよ~」


「あー。そっか。自分から飛び込んだわけじゃないから仕方ないような気もするけど……心配かけてごめんね。ありがとね」


「「「……」」」


 そかそか。

 行方不明になってたんだもんね。

 やっぱチート集団でも、行方不明になった人を探すのはちょびっとだけど時間がかかるんだねー。

 まぁ、十分早いと思うけどね。

 だって異世界だし。

 探し出せるのが流石チートって感じなんだけどね!




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