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第3幕「不滅の者の投獄」


ジュリエッタの鋭い言葉によって呼び覚まされたダンテの不機嫌さは、牢獄への道のりを重苦しい沈黙で包み込んだ。一歩ごとに空気はさらに重くなっていった。彼は地平線に視線を固定して歩き、握りしめた拳は、消え去ることを拒む苛立ちを物語っていた。 一方、ジュリエッタは二人の間に立ちはだかる見えない壁を打ち破ろうと努めていた。希望をほのめかす優しい声、彼が頑なに作り出そうとする暗い状況を明るくしようと、言葉を選びながら語りかけた。しかし、彼女の試みは、単音節の返事か、あるいは道の石壁の間に消え去る自身の声の冷たい反響に阻まれた。 風さえも、その断絶の重みを運んでいるかのようだった。その一方で、不気味な刑務所のシルエットが近づいてきて、真の試練はまだこれからだと告げていた。刑務所は風景の中に傷跡のように聳え立ち、古代の黒色火山岩で築かれたその建物には、光の下で煌めく色あせたルーン文字が刻まれていた。 高く不規則な城壁は、空を掴む石化した爪のようであり、ねじれた鉄の格子――錆びた箇所もあれば、研ぎ立ての刃のように輝く箇所もあった――が、頭蓋骨の裂け目のように見える細い窓を守っていた。 正面入口はゴシック様式のアーチで、風になびいて金属的で葬送的な音を響かせる太い鎖で飾られていた。 頂上には、遠い王国の色あせた旗がはためいていた。深紅の地に銀の糸で刺繍された翼のある竜は、古の盟約の象徴か、あるいは静かな侵略の象徴であった。刑務所の周囲には、望まれない者の出入りを阻む、刑務所全体を覆う儀式的な結界が張られていた。 門の両脇には二人の男が立っていた。その立ち居振る舞いも、身なりも、周囲とは一線を画していた。彼らの服装は、この地の軍隊の簡素なスタイルとは異なっていた。緑がかった迷彩服に、おそらくラヴェニタ――火山から採掘された鉱石――製の金属プレートを身に着け、オブシディアン王国の勲章が付いた帽子をかぶっていた。


門の衛兵たちが前進し、ルーンの幽玄な光の下でラヴェニタの武器がきらめくと、ダンテとジュリエッタの間の緊張は、圧力を受けたガラスのように張り裂けた。男たちは人間には見えなかった。緑と金属に刻まれた影のように動き、顔は古めかしいガスマスクで隠され、その呼吸は乾いた骨を鋸で削るような音を響かせていた。


「氏名、目的、そして誰と……

左側の男が、フィルターの真鍮によって歪んだ声で要求した。彼の帽子の竜の紋章が脈打っていた。まるで銀の糸が、彼の血管を流れる毒であるかのように。

ダンテはひるまなかった。男たちの鎧のプレートに刻まれた爪の模様を目にして、彼は目を細めた。ラヴェニタ。黒魔術さえも耐えうる火山性鉱石。その金属を使うのは、二種類の者だけだ。賞金稼ぎ……あるいは、存在してはならないものの看守。


「身分証は?」

「ジュリエッタが口を挟んだ。その外交的な微笑みには、切迫感がにじんでいた。「私たちは、リスの評議会から、古代の封印を調査するために派遣された者です」

衛兵たちは顔を見合わせた。右側の男が、湿った、かすれた笑い声を上げた。

「リスの評議会は、前回の戦争で消滅した。お嬢さん、君からは嘘の匂いがする。」


ダンテは背中の筋肉がこわばるのを感じた。ジュリエッタは嘘をついている。もちろん嘘だ。だが、なぜだ? 彼女に問い詰める間もなく、先頭の衛兵が槍を掲げ、床に描かれた儀式用の円を指し示した。それは、まもなく始まる戦いのために、再び武器へと劇的に変貌を遂げた。彼は身を翻し、くさり鎌をすでに振りかざしていた。 緑がかった鎖の連なりは毒蛇のように唸り、先端の鎌が淡い渦を描いて空気を切り裂いた。刃は衛兵の肩を捉え、ラヴェニタの鎧をかすめたが、貫通はしなかった。その代わりに、鎌から緑がかった霧が噴き出し、黴のように鎧にまとわりついた。


「疫病…!」

衛兵は後ずさったが、時すでに遅し。金属は錆び始め、錆の斑点が黒い静脈のように広がっていった。彼は咳き込み、琥珀色の液体が仮面の下から流れ落ちた。一挙手一投足が流れるように滑らかで、まるでジュリエット自身がその一撃を予見しているかのようだった。鎖は共犯者の結び目のように、彼女の手首に絡みついていた。 最初の衛兵が槍で攻撃した。ラヴェニタの穂先が壁に突き刺さる間、ダンテはまるで重さなどないかのように左へ身をかわした。彼が考えるより早く、鎖鎌が反応した。鎌が衛兵の兜を打ち、緑がかった霧が噴き出し、ガスマスクにまとわりついた。金属は疫病に蝕まれ、泡立ち始めた。


「深淵の虫どもめ!」

衛兵は咆哮した。その声は、腐敗で詰まったフィルターによって歪められていた。槍は震えていたが、彼はそれを横薙ぎの一撃として放った。ダンテは後ろへ跳び退き、刃が肋骨をかすめた。浅く、表面的な切り傷――緋色の血がシャツを染めたが、彼は微笑んだ。その痛みは単なる思い出させに過ぎなかった。自分はまだ生きている、と。


二番目の衛兵が背後から襲いかかり、大剣が稲妻のように振り下ろされた。ダンテは振り返らなかった。鎖鎌はすでに空中で曲がり、鎖が意識ある蛇のように敵の手首を巻きついていた。ジュリエットが引いた――衛兵はよろめき、急速に広がる疫病によって腕が固まり、ラヴェニタの剣は錆びた粉へと変貌した。


「な…何だ…

「何だ…これは…」衛兵は呟いた。仮面の下にある黒い瞳が撹動し、皮膚が腐り始め、灰色の筋肉ともろい骨が露わになった。ダンテは答えなかった。頭上で鎖鎌を振り回し、その鎌先を最初の衛兵の鎧の継ぎ目、胸と肩の間に突き刺した。 疫病は、切り開かれた静脈に流れ込む毒のように侵入した。衛兵は叫んだが、その声は喉が緑色の胞子の爆発で崩壊すると、ゴボゴボという音へと変わった。彼の体は崩壊し、床にカビの染みを残すだけとなった。 腕が壊死した断片と化した二番目の衛兵は、後退した。刃が同期して回転し、赤と苔緑の間を行き来する霧を形成する中、ダンテはその不浄な空気を吸い込み、多少の不快感を覚えたが、それでも腐敗の臭いに過ぎなかった。一方、衛兵は先ほどの者と同様に、ただ粘液の溜まりと化していた。


「まあ、こんなことなら避けられたはずだが、誰かが嘘に溺れなきゃならなかったんだな……」


ダンテはそう呟いたが、有毒な空気を吸い込んだせいで疲労を感じていた。しかし、その影響はさほど大きくなかった。彼は血と呪いの言葉を混ぜ合わせたものを吐き出した。 空気は腐敗の悪臭で重く、鎌の緑色の霧が、彼の傷の赤と混ざり合っていた。彼はその武器を見つめた。鎌の中心で微かな光が脈打っていた。それは彼の唯一の友人、ジュリエッタの反射だった。何か悪戯をして、それを楽しんでいるような彼女の表情は明らかだった。

「嘘には代償がつきものだ、ジュリエッタ」


彼はそう呟き、血痕のついた刃を撫でた。

「そして、お前は莫大な代償を払わなければならない」刃の奥深くから、うなり声が響いた。長く、低く、聞き覚えのある声だ。ダンテは鎖鎌の鎖を腕に巻きつけ、それがまるで第二の腕のように体に馴染むのを感じた。

「あんなに悪さをして、酒も飲まないくせにぐっすり眠るなんてな……行こう」

彼はそう命じ、監獄の闇へと歩き出した。

「お前だけがここでの嘘つきじゃないって、バレる前にね」

ダンテが押すと、牢屋の扉は瀕死の動物のようにきしんだ。足元の儀式用の円が輝き、赤いルーン文字が腕の傷跡と一斉に脈打った。それは、入る権利、あるいは戻る権利を認める血の署名だった。内部の空気は重く、焦げた油と腐敗した肉の臭いで充満していた。 壁が呼吸していた。文字通りだ。黒く湿った膜に覆われた壁は、肺のように膨らんだり萎んだりし、喉を刺すような酸っぱい蒸気を吐き出していた。ダンテは鎖鎌を握りしめ、鎖が震えるのを感じた。

「素敵な内装だね」


彼は囁いた。胸の締め付けを嘲笑で覆い隠しながら。「記憶通りのまま、この場所を保存しておいたようだな」二人は狭い廊下を進んだ。床は粘着質の物質で覆われており、一歩踏み出すたびにパチパチと音を立てた。 左側には、扉が全開になった独房が、その恐怖をさらけ出していた。石のテーブルに鎖で繋がれた人影。その胴体は切り裂かれ、血の抜けた臓器が収縮している。もう一つの独房は壁一面が割れた鏡で覆われ、そこではある影が失われた言語で鼻歌を歌っていた。その目は、錆びた歯車に置き換えられていた。

「見るな」

ダンテは呟いた。それは自分自身への言葉ではなく、鎖鎌の鼓動に向けたものだった。

「そうやって、奴は君を捕らえるんだ」


廊下の先には、深淵へと続く螺旋階段があった。不揃いな段は、火山岩に直接彫り込まれていた。彼は先頭に立って降りていった。左手は壁にルーン文字を描いていた。それは無意識の動作であり、筋肉の記憶だった。 腕の傷跡が焼けるように痛んだ。腕を見つめて気を散らしていた隙に、背後から槍の一撃を受け、飢えた獣の牙のように腹部を貫かれた。彼はよろめき、喉に詰まった叫びは、くぐもった咆哮へと変わった。槍の穂先が腹から突き出ており、壁の火山岩と同じくらい濃い血が滴り落ちていた。

「ジュリエッタ……!」


その呼び声は、思わず、怒りに満ちて漏れた。彼が指を動かすより早く、鎖鎌が反応した。鎖は襲い掛かってきたもう一人の衛兵の首に絡みつき、彼は必死の力で引き寄せた。 敵の首は引きちぎられて飛んだが、緑色の胞子も、害虫もなかった。ただ、静寂だけがあった。ダンテは膝をつき、震える手で、まだ自分の体に突き刺さったままの槍を握りしめようとした。熱い武器が右手で脈打っていた。まるでジュリエッタが金属を通して話そうとしているかのようだった。


「黙れ……黙れ……」

彼は唾を吐き出し、苦痛に歪んだ顔で壁まで這っていった。 腕のルーン文字が今や蛍光のような赤色に輝き、周囲の石に刻まれた痕跡と共鳴していた。牢獄は彼を認めたのだ。そして彼と共に血を流していた。槍は湿った音を立てて引き抜かれた。ダンテは叫び声を飲み込み、代わりに嗄れた歪んだ笑いを漏らした。


「これか……これしか持っていないのか?」

囚人たちが聞いていることを知りながら、彼は虚空に向かって挑発した。一方、彼の忠実な相棒は、闇のマナを操り、重傷を負った友人の体を癒やしていた。 再生の力は決して優れてはいなかった。何しろ、治癒は彼女の専門ではなかったのだ。それはハチの糸のように彼の体に食い込んだ。ダンテはうめき声を上げた。歯を食いしばり、ただ肉体的な痛みだけでなく、影の冷たさが、引き裂かれた肉を修復するために彼の生命力を吸い取っていくのを感じていた。


「いや……それは……君の……得意分野……だよね……」

彼は咳き込みながら笑い、濃い血が床に飛び散った。

「うるさい!黙っててよ、今、君のミスを直そうとしてるんだから…」

彼は出血し続けていたが、彼女は自分の服を裂いて包帯を作り、傷口を止血した。

「あの老人はどこ?タカ!」


ダンテはジュリエッタの足を引き、誰かの注意を引かないよう叫ぶのをやめさせた。結局のところ、彼女は銃を構えながら戦うことなどできないのだから。


しかし、彼らの目の前の独房から口笛が聞こえてきた。単純だが紛れもない合図だ。二人はその独房を見つめ、ダンテは光との親和性を使って独房を照らすために手を伸ばした。その過程で、彼はわずかな打撲傷を感じた。 壁に押し付けられた囚人は、服が破れ、ぼろぼろになっていた。体の隙間から血が流れ出ているが、まるで痛みを感じていないかのように、その顔には穏やかな表情が浮かんでいた。囚人はゆっくりと頭を上げ、濁った琥珀色の瞳で、驚く様子もなく二人をじっと見つめた。

「ダンテ!アズール!」


物乞いのようなその男は、二人を指してそう言った。ジュリエットは戸惑いながら彼を見つめた。


「アズール? 俺はあのエモ野郎のせいでお前と戦ったんだ。名前を聞いて、絶対に忘れないって言ったじゃないか! なんてクソみたいな不死者だ! そもそも、なんでこんな場所に囚われることなんて受け入れたんだ? ここに来るべきじゃなかったんだぞ!」


乞食は、わざとやったような口調で小さく笑った。

「疫病の刃……お前は時々、本当に予想通りだな……孤独な戦士と衝動的な女の組み合わせは、なかなかいいぞ……」


彼はさらに大声で笑いながら、杭の牢獄から一人で抜け出し、手足を引き裂いたが、それらは瞬く間に再生し、二人とも「モナーク級」だと感じた。ジュリエットが反応するより先に、ダンテが襲いかかった。 クサリガマが緑色の渦を巻きながら空気を切り裂いたが、その存在は霧のように身をかわし、二人の背後に現れた。ダンテは、彼が何の苦労もなく柵から抜け出したことに極めて困惑し、理解に苦しんでいたが、ジュリエットは反射的に答えた。


「タカ……柵を通り抜ける際に体を裂き、すぐに再生したんだ」ジュリエットの驚きの眼差しは、高揚と懐かしさを込めて二人を見つめるその存在の、幸福に満ちた眼差しと交わった。二人は口々に、頭に浮かんだその名を呼んだ。

「タカ、不死の君主」


独房は、古鉄と腐った肉の臭いがした。タカは、まるで自らの死体から蘇る亡霊のように立ち上がった。杭によって引き裂かれた手足はリアルタイムで再構築され、筋肉が骨の上に織りなされ、皮膚は湿った木材に生えるカビのように生えてきた。 ダンテは一歩後ずさり、腕のルーン文字が、男の再生という有機的な音に合わせて脈打っていた。

「アズール……」

タカは繰り返した。その名は、生肉にナイフを滑らせるかのように引きずられた。琥珀色の瞳がジュリエッタを捉え、一瞬の間。


「今まで見た中で最強の武器は、調子はどうだ」

肩を軽く叩きながら。

「彼女の名前で呼ぶのはやめてくれ!」


ジュリエッタが踏み込み、彼女の手は鎌の刃へと変わり、彼を首から切り落とすはずの水平の一撃を轟音と共に放った。タカは微動だにしなかった。 刃は霧を切るかのように彼の首を貫き、彼は笑った。その音は壁の内部に反響した。腐敗が彼の首を伝ったが、3センチ以上広がることはなく、やがて跡形もなく消え去った。


「相変わらずの衝動的さだな。さあ、この牢獄から抜け出そう。この街では、もう長い間、面白いことが何も起きていないからな」


タカの視線はダンテにとって予想通りのものだった。彼は何かを企んでいたが、その傷が彼を弱らせ、二人の後ろで膝をついて倒れた。不死者は若者の傷を見て近づき、その傷に触れながらこう言った。「不死の君主の名において、我が標的を癒せと命じる。」


ダンテの傷は劇的に再生し、痛みは安堵へと変わった。

「ありがとう、おじいさん。また借りができたな」

その声は穏やかな囁きだった。


「行こう」

不死者はそう告げると、振り返って壁の方へと歩き出した。黒い石は、彼がこう唱えると溶け出した。

「リシアンの名において、最後のエルフよ、この闇の石を泥へと変えよ」

さらに奥深くへと続く通路へと続くアーチを形成した。

「牢獄は我々に飽きている。そして私は『三者』に、見世物を約束したのだ。」

「リシアン……」

ジュリエッタはその名を呟いた。その言葉は、白熱した炭のように彼女の舌を焼いた。

「一体誰なんだ? どうやってそんなことができるんだ?」

タカは振り返り、微笑んだ。


「昔からの友だ。彼女がまだ幼い頃、抱っこしてあげたこともあるよ。エルフって本当に成長が早いんだな……。俺がどうやって溶かしたかについては、後で詳しく説明するよ。こんな暗い場所で話すのは無駄だしな……」


タカは両手を背中に組んで先を行く。まるで不気味な校外学習の引率教師のようだった。ジュリエッタは拳を握りしめた。手の中でクサリガマが変形していくのを感じた。まるで「リシアン」という名が彼女を引きずり下ろそうとしているかのように。


「それで、彼女が壁を溶かすこととは何の関係があるの?」

「ほとんど関係ないよ。正直、もっと役に立つ名前か、『砂漠の君主ヘリオ』みたいな石の名前を使えばよかったんだ。


からかうように、彼はさらに大声で笑いながら、真っ先に洞窟から飛び出した。目の前で強烈な光が炸裂し、数秒間視界が眩んだ。目が慣れてくると、鋼と溶岩の波のように押し寄せる衛兵たちの姿が見えた。彼らの鎧は、金属の表面の下で脈打つ生きた動脈のように、赤く光る筋を走らせて輝いていた。

最初の攻撃は轟音と共に襲いかかった。タカの肩に、凄まじい斧の一撃が炸裂した。彼は、自分の肉――あるいはそれが何であれ――に刃が食い込んでいくことなど意に介さず、かすれた笑い声を上げた。

「さあ、行こう、子供たち!」

タカは叫び、まるで棘を抜くかのように自らの体から斧を引き抜いた。

「人生は短すぎる、つまらない一撃なんて!」

ジュリエッタは鎌鉤を振り回し、鎖が殺意に満ちた唸りを上げて空気を切り裂いた。二人の衛兵は動きに気づく間もなく喉を裂かれて倒れたが、三番目の衛兵はより機転が利き、身をかわしてダンテの太ももに短剣を突き立てた。


「見て、ダンテ!変身しなくても武器を使えるわ!どうやってやったのか分からないけど……太ももを切られるわよ……もっと戦いに集中して!」


「くそっ!」

ダンテは片膝をつき、血が牢屋の石のように流れ落ちた。


「ジュリエット、左だ!」

彼女は反射的にその指示に従い、襲い掛かってきた敵の首を刎ねたが、その直後、別の衛兵が彼女の背中に槍を突き刺した。槍の先端が肺を貫き、ジュリエッタは鮮やかな赤、まるで虹色のような血を吐き出した。

「ああ、残念だ」

タカが彼女の背後に現れ、何気ない動作で槍を引き抜いた。「不死の君主の名において、この肉を癒せ。」

ジュリエッタの傷は塞がったが、痛みは残った。それはまるで幽霊の心臓のようにズキズキと疼いていた。彼女はタカの方へ目を向けた。タカはすでに、猫がネズミを弄ぶように衛兵を翻弄しており、何度も手を切り落とさせ、それが再生するのを楽しんでいた。

「あなた、本当に我慢できないわ!」


ジュリエットは咆哮し、鎌を弧を描くように放って、一度に三人の衛兵を串刺しにした。「これをゲームみたいに扱うのはやめて!」

「でも、これはゲームなんだよ、ダーリン」

タカは指をパチンと鳴らし、叫んだ。

「砂漠の君主ヘリオの名において、我が行く手を阻む黒い石を溶かし、酸に変えよ。そして敵を滅ぼせ。」

牢屋の壁が汗を流し始め、黒い石が溶けて酸性の泥の川となり、二人の衛兵を飲み込んだ。—最高だ。盤面が血を流すようなゲームは。

片腕がほぼ切断されたダンテは、黙って戦っていた。素手での彼の驚異的な技は、絶望の舞踏のようだった――一撃一撃は完璧だが、その動きの一つひとつが正気の糸を断ち切っていく。看守に壁際に追い詰められ、腹に剣を突き立てられたとき、彼は叫ばなかった。ただ囁いた。

「タカ……もう一度」

「相変わらず礼儀正しいな!」

不死者は瞬く間に現れ、剣を引き抜くと、その傷に手を押し当てた。

「凍てついた湖の女王の名において、命じる。氷を砕け、血を温めよ。」


ダンテは立ち上がった。皮膚は再生し、霜の模様がすぐに蒸気へと変わっていった。しかし、何かがおかしかった。かつてはワインのように赤かった彼の瞳が、今や青く輝いていたのだ。

「彼に何をしたの?」


ジュリエッタはタカの首根っこを掴み、パニックで後退する残りの二人の衛兵を無視した。

「ああ、これは…もっと大きなものの前菜に過ぎないわ」

彼は微笑み、額から架空の血を拭った。

「ショーについて言ったことを覚えているか? 舞台はまもなく整う。


生き残った衛兵たちは逃げ出したが、そのうちの若い一人が出口で立ち止まった。兜の下で彼の目が光り、彼が囁いた一言で、ジュリエッタの鎌鉤は毒を塗られた音叉のように震えた。

「オブシディアンの君主、パイロが、お前たちがここで何をしたか知ることになるぞ!」


反応する間もなく、衛兵は霧の中に消え去り、残したのは笑い声の残響と、ジュリエットの手首に脈打つ傷跡だけだった。そこでは、鎖鎌の鎖が未知のルーン文字で燃え上がっていた。

「俺に何をしたんだ?」

ダンテはタカを見つめ、タカは次にどうすべきか考え込んでいた。「お前を雪の塊に吹き飛ばすはずだったんだが、あの臆病者どもが逃げたからな……元に戻してやるよ」

「お前、何だって?

ジュリエッタが襲いかかろうとしたが、タカはすでに呟いていた。

「最初なる者を見し者の名において、我が盟友を戦いの前の状態へと戻す」


ダンテはすぐにいつもの姿に戻り、困惑した表情を浮かべつつ、金鉱脈を見つけた者特有の緋色の輝きを瞳に宿していた。

「な…何だ、あれは?」

ダンテは咳き込み、まるで自分の顔を見知らぬかのように、自分の頬に触れた。

「ただの予行演習さ」

タカは親しげに彼の肩をポンと叩いた。

「まあいいさ、ジュリエット、不死者が俺たちに借りを負ったな」


ダンテは無理やり小さな笑みを浮かべた。その間、タカはシャツを着ておらず、太ももの一部が覗いているズボンの破れ目をじっと見つめていた。ジュリエッタはダンテに近づき、その目と体をじっと見つめた。一見、すべては正常に見えたが、それでも彼女の心配そうな表情は変わらなかった。

「なあ、注意も払わずに戦場の真ん中に飛び込むなよ、いいか? 銃を君に譲るべきだったな……

「いや、大丈夫。大事なのは同じ過ちを繰り返さないことさ」


再び、彼女の友人は武器へと変わり、ポケットに戻っていった。その間、タカは黙ってそれを見守っていた。


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