高貴なるブルーマリーの決意
父アスターに食事に呼ばれたブルーマリーはともに食事をしながら話をしていた。しかし、アスターの口からは驚きの言葉が。
父アスターに食事に呼ばれ食卓に向かう。
「お待たせしてすみません。お父様。」
「おぉ!ブルーマリー体調はどうだい?夕食に誘うのは早かったかな?」
先に来ていたアスターが声をかける。
「えぇ、たくさん眠っていたおかげか体調はそこまで悪くありませんし、食事も問題なくとれます。」
席に着き、ブルーマリーが笑顔で答える。
「そうか、ならいいんだ。早急に話したいことがあってな。」
(先ほど、私の部屋でもおっしゃっていたものね。そんなに大事な話なのかしら。)
「まぁ、食べながら話そうじゃないか。食事を運んできてくれ。」
「かしこまりました。」
そばに控えていた使用人に食事をもってこさせる。
目の前にあたたかい食事が運ばれて、食事がスタートする。
静かに食事をしている中、アスターが口を開いた。
「その、ブルーマリー。」
「なんでしょうか。」
食事の手を止め話を聞く。
「その、お前が倒れた日に会議で城に行っていただろう?その時、国王に呼ばれて少しお茶したんだが」
どこかオドオドとした様子でアスターが話し始めた。
「王子たちの話になってな、少しお見掛けしたが立派に成長されていた。」
「ごほんっ。」
なかなか本題に入ろうとしないアスターに痺れを切らし控えていた執事が咳払いをする。
「ブルーマリー。第三皇子殿下にあってほしいんだ。」
「カランカラン…」
ブルーマリーは驚いて持っていてスプーンを落としてしまった。
「どうした!大丈夫か!」
驚いたアスターが声をかける。
ブルーマリーは普段テーブルマナーを完璧にこなしていたから驚いたのだろう。
「申し訳ありません。少し、驚いてしまって、」
(はやい!展開がはやすぎるわ!)
ブルーマリーは表では平静を装っていたが、内心はとても同様していた。
「第三皇子殿下の事情は知っているな。」
「はい。」
(第三皇子殿下は側室であるシェリア様との御子。国王陛下はシェリア様のことを溺愛していたけれど、国際問題で隣国の王女だった現王妃のクレア様とご結婚なされたのよね。第一皇子殿下と第二皇子殿下がお生まれになってから側室をとられと聞いたけど。それまではクレア様が側室をとることを許さなかったとか。)
「半年前、シェリア様が流行り病で亡くなられてから第三皇子殿下に対するクレア様の陰湿な嫌がらせがひどくなり、それから守ろうと国王陛下が第三皇子殿下の婚約者探しを始めたんだが。」
アスターの顔が曇る。
「境遇が境遇な上に、クレア様から嫌がらせを受けるのではないかと嫌な噂がたっていてな。なかなか婚約者が見つからないようなんだ。顔合わせに行った先でひどいもの良いをされ、最近は顔合わせ自体も断られているそうなんだ。」
真剣な顔でブルーマリーを見つめる。
「お前は同じ年ごろの令嬢よりも落ち着いているし、一度でいいからあって、話だけでも聞いてやってくれないかと頼まれたんだ。」
(なるほど、それで)
「もちろん、体調がよくなってからでいいと言われているし、断っても何の問題もない。」
アスターは立ち上がり、ブルーマリーの元へと歩み寄る。
「お前の好きなようにしていいんだ。」
ブルーマリーの白く細い指先を、アスターの大きな手で包み込む。
「わかりました。お会いします。ですが、私に王都まで馬車に揺られる体力はありません。第三皇子殿下にここまで足をお運びいただくことになりますが、それでもよろしいでしょうか。」
アスターの表情が明るくなってゆく。
「そうか!それなら問題ない。元々ここに来ていただく予定だったんだ。陛下がブルーマリーの体調を心配してくれていてな。早速返事を書かなければ。」
アスターは立ち上がり、控えていた執事に紙とペンを持ってくるよういいつけた。
(正直まだお会いするのは不安。でも、夢の中でみたレイシス殿下のあのお辛そうな顔のことも気になるし、会わなければいけない気がする。)