高貴なるブルーマリーの思考
ブルーマリーは真剣に眠っている間に見た夢について考え始めた。しかし、四日間も何も口にせず眠っていたため考えがまとまらず、まずは食事をとることに。
マーガレットが食事を運んでくるまでブルーマリーは夢のこと、そして今後について考えていた。
(夢の中のレイシス殿下は私に向かって”婚約者”とおっしゃっていた。)
「私はレイシス殿下に一度もお会いしたことはないはず。」
(やはりただの夢?あまりにも現実味を帯びていたから、未来の私の姿だと思ったのだけれど。)
ブツブツと独り言を言いながら思考を繰り返す。
(私は今11歳。世のご令嬢はこの歳にもなれば婚約者を探して、お茶会やパーティーに参加するけど。)
「私は体調が安定しないから、一度も参加したことがないのよね。」
(やはり、レイシス殿下とのつながりができるとは思えない。)
「はぁ~」考えがまとまらず、軽くため息をつく。
「今は何を考えてもまとまらない気がするわ。栄養が足りていないのね。まずは食事をとらなくては。」
ブルーマリーはうまく働かない頭を軽くおさえる。
「お嬢様~!お嬢様~!」
廊下の方からマーガレットの叫ぶ声が近づいてくる。
「お嬢様!お食事をお持ちいたしました~!」
食事を乗せたカートを押しながらマーガレットが入ってくる。
「お嬢様は四日間も何も口にされていないので、野菜と卵のリゾットを作ってもらいました。」
白い湯気を立てたリゾットが目の前のテーブルに置かれる。
「お熱いので、お気をつけてお召し上がりください。」
「ありがとう、マーガレット。お茶もいただけるかしら。」
「はい!お嬢様のお好きなジャスミンティーをお入れいたしますね。」
「えぇ、お願い。」
(四日ぶりの食事ね、いきなり食べると内臓が驚くから、ゆっくり食べなくちゃ。)
「お嬢様、ジャスミンティーです。お食事はお口に合いましたか?」
「えぇ、美味しいわ。シェフにも伝えてくれる。」
「お任せください!シェフもお喜びになられます!」
マーガレットがいれたジャスミンティーを啜る。
(やはりジャスミンティーは落ち着くわね。食事をとって頭も冴えてきたし、先ほどの続きを考えてみま
しょうか。)
食器を片付けているマーガレットに声をかける。
「マーガレット、片づけた後でいいから紙とペンをもってきてくれる?」
「紙とペン、ですか?誰かにお手紙でも?」
マーガレット不思議そうに小首を傾げる。
「いいえ、ただ考えたいことがあるから、紙にかいて残しておきたくて。お願いできる?」
「お任せください!すぐにお持ちいたします!」
空の食器を乗せたトレーを押しながらマーガレットは元気よく出て行った。
ーーー数分後ーーー
「お嬢様!われた通り紙とペンをお持ちしました。」
マーガレットが紙とペンをもって戻ってきた。
「ありがとう。一人になりたいから下がって大丈夫よ。」
「承知しました!なにかあれば呼び鈴をお鳴らしください。」
マーガレットは静かに扉を閉める。
「さて、紙もペンもそろったし、食事もすませた。ようやく集中して考えることができるわ。」
机に紙を並べ、ブルーマリーは再び考え始めた。