クエスト8[VSマザースパイダー]
現在の能力値 スキル
筋力60 『加速』
『貫通』
体力20 『隠密』
俊敏25
魔力35
「赤月さん本気ですか?ボスを倒したら30分後にダンジョンは消えるんですよ?皆の遺体は?」
「伊達くんの首を持ち帰っても親には酷だし、斎藤さんは遺言と家族に渡す魔晶石を預かっている。斎藤さんだけなら運んでもいいが、伊達君はやめたほうがよくないか?」
「片方だけ運ぶのは喧嘩になる可能性もありますもんね。わかりました。」
「そうして今からこのダンジョンでの出来事は偽る。」
「分かりました。赤月さんが力を隠すのにも理由がありそうですもんね?」
「シナリオは水井が伊達くんを襲い、俺たちで奮闘、結果的に倒すことはできたが、斎藤さんは体を毒付きの剣で刺され、亡くなってしまった。わかったな?」南田くんはうなずいた。
「そしたら、さっさとクリアして少し休んでから管理局を呼ぶぞ。」
俺たちは青い扉のボス部屋に入った。そこには2Mはありそうな大きな蜘蛛とその奥に無数の卵があった。
「マザーってわけか。南田くんは邪魔になるから、後ろに下がってて。」
「大丈夫でーす!もう離れてまーす!」…いつの間に…
「…マザースパイダー、お前の経験値…もらうぞ。加速。」
勢いよく地面を蹴り、マザースパイダーの左側の足を狙う。蜘蛛は大型化すればするほど蜘蛛の特徴的な速さが無くなるが、代わりに硬くなっていく。しかし、どうやっても頭胸部と腹の間は細く、足の節は広くなる。よって、片足をすべて切り落とし、頭胸部と腹の間に『貫通』を叩き込む!
まずは一本!「硬!」思ったよりも硬い。なるべく『加速』を使えるままとどめを刺したいのだが…。
とりあえず足が先だ。効果時間残り約210秒。続いて二本目を破壊。効果時間残り約120秒。効果時間残り…約30秒?!間に合わない!その時マザースパイダーが初めて牙ではなくお尻を向けてきた。
「まずい!蜘蛛の糸か!」とっさによけることに成功するが、すかさず追撃される。避けるのを繰り返すうちにいつしか壁際に追い込まれてしまった。そうしてスキルの効果時間が切れた。
「チッ」スキルが切れた今、マザースパイダーは足を失っているため、速度はギリギリ同じくらい。勝ち目がなくなってきた。
八つ当たりで、そばにあった卵を破壊する。
「キエエエェェ」マザースパイダーが激怒した。しかし俺には勝ち筋が見えてきた。
『経験値50獲得』システムが卵を破壊しても経験値をくれたのだ!幸い卵は近くにまとまって保護されていた。マザースパイダーとの速度は互角。今なら追いつかれない!
俺は卵のある所まで走った。怒り狂ったマザースパイダーが追いかけてくる。俺は巣の周りを回りながら外側の卵から順に破壊していった。
全てで100個はあったかな?俺は5分程度ですべてを破壊した。
『レベルがアップしました。』『レベルがアップしました。』通知が入る。ポイントをすべて魔力に振る。これなら戦える!
再びマザースパイダーの足元に近づく。
「貫通!」三本目の足の破壊に成功する。残り『貫通』使用可能数は2回。
「貫通!」最後の足を破壊し、機動力を完璧に潰した!近くの岩からマザースパイダーの頭胸部に飛び乗る。
「貫通!」最後の一撃を放つ。しかしまだ倒れない。そんな時、『貫通』がもう一度使用できるようになったのだ!なんと、徐々に魔力が回復し、たった今5ポイント溜まったのだ!
「これで最後だ!」
「貫通!」
「キエエエェェェェェェェ…」マザースパイダーは叫び、息絶えた。D級ボスのソロ討伐達成である。
『レベルがアップしました。』そんなにこの蜘蛛は強かったのか…。
「やりましたね!赤月さん!」俺よりも南田くんが喜んでいるのはなぜだろう。
何はともあれ、魔力50ポイントと、俊敏の上限の開放ができたので大きく満足だ。
「あー疲れた。」俺は地面に寝っ転がった。
これにてD級ダンジョンのリベンジが終わったのであった。
[第9話に続く]
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