クエスト77 [最強は死んだ]
「(何かしようとしてる…?)」
何にせよ、二つ目の能力が判明していない状況で何かされるのはまずい!
だが、さっきの攻撃のせいで魔力が殆ど底尽きた。
「アイスソード!」
俺は正面から斬りかかる。
しかし、ただの斬り合いではお互いに決定打にならない。
向こうは俺に多少隙ができてもずっとアイスソードばかり狙ってくる。
さっきの魔力の使い方を見ているから、再生によるゾンビ戦法を警戒してるわけではなさそうだ。
ならおそらく、カウンターを警戒して先に武器を潰そうとしているのだろう。
なら守りよりも、攻めたほうがいいな。
だがやはり、魔力回復には時間がかかる。
次にアイスソードを作るまでには相当時間がかかるぞ?
しかし、良く考えれば戦闘が成り立ってる時点で素の速度は同じなのだ。
つまり、あと1。
魔力が1回復すれば『加速』が使える。
これまで武器を壊さないで粘れれば、俺の勝ちだ。
しかし、違った。いや、違ったと言うよりもそんな簡単ではなかったっと言うべきだろう。
俺のアイスソードは加速により、心臓に届いた。
だが、そいつが刺された直後、潰したはずの目が開いた。
…が、勿論潰しているので問題なかった。
しかし次の瞬間、その目は180°回転した。
その目の裏には同じく目があり、その瞳には縦線が一本あった。
「(なんだ…?あの瞳は…)」
まるで数字の1のような線だ。
俺はこんな事を考えていた。
…しかし、俺はここで判断を間違ったことに気がついた。
ここで瞳に映ってはいけなかったのだ。
本来目玉の両方に視界があることは無い。
つまり、これはスキルに関係がある。
第三の目・表のスキルは瞳に映った生物の強制石化。
ならば裏は?
おそらく、同じく瞳に映ったものに強制的に働く系のスキルだろう。
つまり、その瞳に映った時点で俺はスキルによる攻撃を受ける。
「ッ!」
俺は咄嗟に心臓からアイスソードを引き抜き、再び現れた第三の目に刺そうとした。
俺が具体的にどんなスキル攻撃を受けたのかは分からない。
だが、一刻も早くそれを潰すべきだと本能が叫んだ。
「…無駄だ。お前はもう、終わりだ。」
第三の目・裏にアイスソードの切先が届いたその時、アイスソードが砕けた。
耐久値の問題ではない。維持できなくなってしまったんだ。
幸いだったのはギリギリ第三の目を潰せたことだ。
「何で…」
今まで魔力がなくなったとしても、一度生成した魔法は消えなかった。
だが、今回は消えた。間違いなく理由は第三の目・裏だろう。
俺は第三の目・裏の能力は『魔法封じ』と予想した。その為、俺は『反転』を使い、魔力を充電…できない?
「!?」
「だから言ったろう?終わりだと。」
そう言ってそいつは死んだ。
だが、何時もの『レベルが上がりました。』の音声が聞こえない。
カオスの分体を一人倒せば必ず一回は聞こえるはずだ。
この時初めて、俺の体の中から何かが消え、胸に穴が空いたように感じた。
「…ステータス…」
開かない。
「ステータス!」
声だけが響く。
「ステータス!出てこい!アイスバレット!未来視!加速!」
俺は走ってみた。しかし、速くなるどころかいつもより圧倒的に遅い。
…常時発動の身体強化が使えてないのか…?
「ポインター!風刃!隠密!何でも良い!使えるのは無いのか!」
しかし、その思いも虚しくボロボロの町中に一人の声が響いただけだった。
モンスターはその声につられてやって来た。
「…来いよ…」
俺は既に素手でS級の相手ができるレベルだ。
スキルが無くたって…
次の瞬間、俺ははるか遠くに吹き飛ばされ、コンクリートに体を打ち付けた。
「ガハッ…」
何だ…?此奴…ただのゴーレムだぞ?
トップクラスに動きが遅いモンスターだぞ?
何でこんなに攻撃が早いんだよ…
それに…何でこれしきで骨が折れてんだよ…
素の身体能力や攻撃力などは大して強くなかったのに刻まれた数が1だった理由。
それこそが、対継承者最終スキル『封印の瞳』を持っていたから。
それにより、亮の力は封印され、スキルは愚かステータスすらも戻ってしまった。
……信じない。…信じたくない。けど、突き付けられた現実からは逃げられない。
………俺は…戻ったんだ…あの時の雑魚に…俺は…今、E級なのか…
「主!」
その時、丁度帰ってきたシュヴァリエの助けが無かったら、俺は死んでいただろう。
俺は、残り全ての分体と引き換えに、今まで積み重ねてきた十一人の進捗の全てを無に返してしまった。




