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クエスト75 [シュヴァリエの意地]

 亮から獣人を引き離したシュヴァリエはそこから約500メートルほど離れたところで離した。


 「()神が今更何の用だい?」

 「そうだ。元だ。だがな、まさかお前が神になったつもりか?」

 「神を倒したものが次の神となる。

 そして、それは0だ。」

 「0?…君の身体にある4と関係があるのかい?」

 「これは順位だ。私はこの中で最も弱い。私一人を足止めした所で戦況は大きくは変わらないぞ?」

 「(…彼処に居たのは4体。そして全て分体。…なる程な。0が本体か。)

 …だが、少しは変わるんだろう?

 我々は主にすべてを掛けているんだ。」

 「ハハハハハ!神に主がいるとは!面白いな!」

 「言っただろう?もう神ではないと。」


 シュヴァリエは剣を抜いた。


 「悪いが、私は主のように心優しくはない。

 完全にとどめを刺させてもらう。」

 「ハッ!その頭甲冑が飛ばないといいな!」


 そして、二人はぶつかり合った。

 速度は少しノノの母の方が有利。

 たが、そこまで差はない。

 しかし、一撃の重さでは圧倒的にシュヴァリエのほうが上。

 攻撃を受けなければいけないときは両手の爪で受けないと衝撃が分散されないため、両手武器のアドバンテージが低くなる。


 「鎌鼬!」


 通常攻撃が通らない事が確定した為、爪に風を纏わせ、攻撃力を上げる。

 そして、纏った風は飛ぶ斬撃となる。


 「飛撃!」


 こちらも斬撃で応戦する。

 だが、飛ぶ斬撃の威力は二人とも同じらしく、2つ斬撃を飛ばしてきた獣人の攻撃は相殺できなかった。

 シュヴァリエは鎧に傷が付く。


 「流石に簡単には傷は通らないか。」

 「主の突きのほうが何倍も強かったな。」

 「心配しなくとも直ぐに貫いてやるよ!」


 斬撃を飛ばしたほうが有利だと気がついたノノの母は引きながら斬撃を飛ばし続けた。

 大剣が故に斬撃を全て相殺することはできないシュヴァリエは剣の側面を盾にしながら耐える以外に方法がなかった。


 「そんな方法で勝てるのか?」

 「私の大剣と、お前の魔力。どちらの限界が先か。勝負だな。」


 大剣には徐々にひびが入る。

 それに比例し、ノノの母は攻撃スピードを上げる。

 しかし、最終的には魔力が切れる方が早かった。


 「チッ!何でだよ!」

 「お前の戦闘スタイルだと飛ぶ斬撃はいい攻撃手段だろう。

 だがな、私ならそうはしない。」

 「何だと?」

 「私なら小指の爪でも折ってそれに風を纏わせ剣の破壊ではなく貫通を優先しただろう。」


 大剣というのは見かけによらず繊細な武器なのだ。穴が空けば重心が変わる、そこを中心に劇的に脆くなる。

 だが、私はそれでも敵が壊しきれないと判断した。


 「お前が負けるのは、お前が愚かだったからだ。」

 「黙れぇ!」


 遠距離攻撃ができなくなったノノの母は全速力で突っ込んできた。


 「(脆くなっているなら、今が好機だ!一刻も早く破壊し、その脆い鎧ごと細切りにしてやる!)」


 しかし、ノノの母が予想していなかったのはシュヴァリエが上段の構えをしたからだ。

 上段の構え。早い剣技、リーチの長さなどが特徴。しかし、間合いに入られると弱く、首から下の防御がおろそかになる。

 つまり、攻撃特化の構えなのだ。

 相手が攻撃を仕掛けてくるなら防御かカウンターが取るべき行動のはずなのに。


 「馬鹿め!その首、かき切ってやる!」 


 獣人特有の高い身体能力を活かし、縦横無尽に駆け回る。

 だが決してシュヴァリエは動かない。

 ただまっすぐに構える。


 「じゃあな!敗北者!」


 ノノの母はシュヴァリエの間合い直前で大きく屈み、飛び上がる力を利用して甲冑に右手の爪を刺した。

 そして、トドメと言わんばかりに左手で首をかききった。

 しかし、それと同時にシュヴァリエの大剣は振り下ろされ、ノノの母の左肩から腹まで剣が入った。

 そして、剣は壊れた。


 「なっ、何故だ!どうして!」


 その時、シュヴァリエの頭ではなく胴の方から声がした。


 「君が斬ったのは頭じゃない。頭っぽい形をしただけのパーツだ。

 …私に正面から挑んできたのは間違いだったな。」


 シュヴァリエは分かっていたのだ。

 正面から叩きのめされたコイツなら同じく正面から叩きのめしたく思ってるだろうと。


 だが、まだ終わっていない。相手は相当重傷ではあるが、こっちは大剣が壊れている。


 「クソがぁぁぁ!」


 シュヴァリエは蹴り飛ばし、距離を取る。

 その時、空から短剣が降ってきた。

 何時ぞやに主に渡したシュヴァリエの短剣だった。


 シュヴァリエは素早くそれを回収し、ノノの母の頭に突き刺す。


 「終わりだ。カオス!」

 「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙!」


 頭から黒い煙が立ち始める。

 そして、暫くしてノノの母は完全に動かなくなった。


 「…ふぅ。…モンスター狩ってくるか。」


 そう言ってシュヴァリエは回復のためにモンスターを狩りに行った。

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