クエスト73[理想をかけた戦い 其の壱]
会長たちに秘密を話したあの日から一年が経とうとしている。
日本の日付は12月31日。
大晦日の夜は雷雨だった。
その雷雨はおかしな事にありとあらゆる国で起こっていた。
ただの異常気象だと、自分達にはあまり関係ないと多くの人々が大晦日を過ごしていた。
しかし、世界中の積乱雲の中心の空に突如ゲートが現れひびが入る。
そして、日本時間で22時26分。
轟く雷鳴と共に世界中のゲートからE級〜S級間でのモンスターが溢れた。
直に全ての国で緊急速報が流れる。
人々は殺される、ハンター達はモンスターに対処しきれなくて死ぬ者が現れる。
大晦日の夜は一瞬にして世界規模の混沌となった。
人々が逃げ惑う中、日本の東京の中心に現れた積乱雲に向かう人物がいた。
その人物が積乱雲の下から感知したのはとある魔力。
その人物はそこら一帯が見渡せるとあるビルの屋上に来た。
「…やっと来たのか。」
雨の中佇んでいたのは、猫の獣人、鬼人、三つ目の人物、昆虫の様な鎧を纏った人物だった。
その人物はそれらを目視すると、詠唱を始めた。
「天秤を使用…速度と威力を増加。
…悪の権化を、女王の命のままに、撃ち抜け、アイスバレット。」
放たれたアイスバレットは一直線に三つ目の目玉に向かい、その目を打ち抜いた。
「グァァア!」
「「「!」」」
そして、その場所に亮が降り立つ。
「…来たか。」
「予想より、来るの遅かったね。カオス。」
「お前は強すぎた。だからここで総力を持って確実に潰す。」
「一人にここまで戦力を割くのは初めてだ。喜べ。」
「ハッ!俺が一人だと思うか?…来い。」
亮が声をかけると、影の中から鎧が飛び出す。
「…その気配、神か?…いや、何かが違うな。」
「あら。気が付くの早いな。」
この約一年。何も準備しなかったわけじゃない。
俺が訓練している間にこいつらは過去を清算し、過ちをこれ以上続けないためにある決断をした。
「…なぁ白い神。」
「何だ黒い神。」
「俺は今のままで良いと思うか?」
「…どういう意味だ?」
「俺はカオスを作り出すという失敗を犯し、それの収拾をつけるため色々やってきた。
しかし、結局は一番弱い分体にすら苦戦する。
そして、結局は人間なんかに頼ることになってしまった。
俺は、それが、情けない。」
「…つまり、力が欲しいと。」
「あぁ。情けない話だが、自分が生み出したものに自分では勝てない。」
「…元はといえば、この出来事の発端は俺達の些細な喧嘩から始まった。」
「…そうだったな。もう、何で争ったのかすら忘れてしまった。」
「…黒い神、お前は自分だけが悪いと思っているかもしれないが、それは違うぞ?」
「…実際、俺だけだろう?その証拠に、お前はカオスに相当する者を生み出そうとはしていなかった。」
「…神を超えるものが生まれた時点で、神は名だけの神と成り下がる。
君はカオスを生み出したこと、私はカオスを留められなかったことが、神としての罪なのだ。」
「…お前は、つくづく甘いな…」
「…良いことを教えてやる。我々はなぜ二人で神をしているのか。
それは、お互いに支え合うためだ。
一つの力には限界がある。しかし、2人いれば、その限界は大きく離れる。
…黒い神よ。自分だけで閉じこもるな。
我々は二人で神なのだ。」
2つの神は自分たち単体では留められないことを悟っていた。
しかし、元はといえば原因は自分たちにある。
自分の行動には其れ相応の責任を。
二人は混ざり合うことを決意した。
「混ざり合うとなると、主人格はどちらにするかが問題だな…」
「…俺は主人格はお前がなるべきだと思う。
俺のためにお前が消えるのは俺が許さない。」
そう言って二人は混ざり合った。
「カオスに勝てないのなら、我々がもっと強大な混沌になればいいのだ。」
「神はそこまでやるか!」
「理想を現実にするためなら、どんなことでもしよう。
それが私達の責任だ。」
「さぁ、これで4対2だ。」
22時56分。カオス最後の分体達との総力戦が始まった。
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