クエスト34[最強、現着]
「ー!」
日本組の4人の目に映ったものはとても酷かった。
圧倒的な存在感と溢れ出る黒いオーラ。
四方に散らばる死体。
ボロボロの3人。
誰もがこれを終わりだと思った。しかし、感知された以上、殺らねば殺られるのだ。
全員が武器を構える。
北宮ハンターは姿を消し、馬場ハンターは詠唱を始める。
虎山ハンターは心の獣を開放し、鳥嶋ハンターは本をしまって杖をとる。
「指の攻撃は見切れ!」玄武の指示と共に、ぶつかり合う。
「乱月!」
「鎌風乱れ!」
2人の斬撃の乱れ打ち。
「ー!」
モンスターは冷静に全ての斬撃を受け、攻撃力を測った。
結果としては【爪>魔法】の結論に至り、虎山ハンターを潰しにかかった。
そうして、一歩踏み出すと同時に、透明化が解除され、胸に刺さる槍。
透明になった槍を胸の前に構え、踏み出す時の力を使って、刺したのだ。
北宮ハンターの背中には無数の切り傷が。
少し味方の攻撃を受けることを承知で、槍を置き、耐えていたのだ。
「ゴボ…」モンスターが吐血する。
「畳み掛けるぞ!」そこには、鳥嶋ハンターによって回復してもらった玄武と烏天狗が。
「北神・玄武!」
「二式!兜割り!」
左の鎖骨から剣状突起くらいまでをザックリと刀で切られ、右の肩と脇腹が抉り取られる。
「虎噛み!」続いて、右足が切断された。
モンスターの体は今にも崩壊しそうなくらいにボロボロだった。
誰もが勝利を確信した時、考えうる最悪なことが起こった。
刀で切断した所の肉が膨れ上がり、刀を折った。それだけにとどまらずくっつく。
抉られたところの肉も膨らみ、傷がふさがる。右足もギュルン!と音を立てて、形が変わって高速再生。槍に突かれた胸はみるみる塞がり槍も折られた。
「マズイ!」
至近距離で、武器が2つも破壊された。
振り払われた腕により、2人のハンターは壁までふっ飛ばされ、気絶する。
「北宮ハンター!」
「烏天狗!」
次に狙われてしまったのは鳥嶋ハンターだった。
「ー!」
「鳥嶋ハンター!逃げろ!」
後ろから、虎山ハンターと玄武がモンスターを全力で追っていたにも関わらず、あと三歩で手が届いたのに、目の前で鳥嶋ハンターは殺された。
頭にに拳を一発。頭は爆発したように飛び散り、即死だった。
「風・横一文字!」馬場ハンターが腹を真っ二つに割ろうと攻撃を仕掛ける。
しかし、間一髪で避けられ、腹が半分切れただけで終わってしまった。
「ー!」
馬場ハンターは、距離が近すぎた。
数秒で近づかれてしまい、首を掴まれ、千切られた。
そしてモンスターは頭を玄武に向かって蹴り飛ばすが、避けられた。
「虎嚙み!」
2人も失った、怒りと悲しみの混じった攻撃がモンスターを襲う。
しかし、頭に届く寸前でで止められてしまった。
「!」
そうしてモンスターはこう言った。
「…その技はもう、学んだ。」
そうして虎山ハンターは両腕を引きちぎられ、蹴り飛ばされた。
玄武は咄嗟に後ろから蛇を出す攻撃にチェンジする。
しかし、掴まれてしまい、投げ飛ばされ、気絶した。
「帯雷炎!」
直後に立ち直った柚月が右腕に攻撃をする。
「!」
玄武の後ろから見えないように付いて来ていたのだ。
電気と炎を纏った攻撃。
この攻撃は傷口を焼くため、再生するモンスターからすると少々厄介な攻撃だった。
再生するシーンは放心状態で見ていなかったが、『今までの傷が消えている気がする』という勘とともに放った。
結果は大当たり。傷口は焼かれ、電気で、麻痺し、モンスターは膝をついた。
「ー!?」
しかし、それと同時に左腕を取られてしまったのだ。
「ーぁあ!」
痛みで動きが鈍くなってしまった。
そのタイミングをモンスターは逃さず 、何とか指を立て、逃げる柚月の足に一撃入れた。
ドサッ!っと言う音を立てて前に倒れ込む。
未だに動かない烏天狗と、北宮ハンター。
両腕をやられ、血も足りなくなり、戦力にならない虎山ハンター。
一番強い玄武ですらこの有様。この状況に希望は無かった。
「…あぁ…死んだ…」
もう一度指が向けられた時、そう思い、目を閉じた。
だが、その時、誰かに抱えられた。
「…え…?」
目を開いた直後の視界のぼやけで、はっきりとは見えなかった。
けれども知っていた。
この心地よい匂いを覚えているから。
「ぁ…あぁ…」
「ごめん柚月。遅くなった。」
その人物は柚月を治療すると、端のほうに置いた。
「後は任せろ。」
そしてその男はインカムに手を当てこう言った。
[赤月 亮 現着。]
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