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クエスト31[人型の力]

 全員が唖然としている。

 そりゃそうだろう白虎はS級だ。普通の敵が瞬殺できる相手ではない。しかもそれが指一本ともなれば尚更…。

 「ほ、本部!正体不明の人型モンスターと接敵!重傷者1名!至急、応え…グア!」青龍が応援を要請したが、インカムを耳ごと先程の人差し指の攻撃で、抉り取られた。

 インカムは中国政府がケチったせいであの一つだけ。彼らは連絡手段を失った。

 「今すぐ止血しなきゃ!」慌てて近づこうとした朱雀。そのタイミングで、モンスターが動き出した。この中で、最も速いのは玄武か、烏天狗。その2人ですら、踏み込みのタイミングが見えなかった。しかし、ギリギリ何かが動いたことだけは感じ取れた。

 「朱雀!避けろ!」「…え?」しかし、もう遅かった。振り向いたときには朱雀は腹から拳が生えていた。拳が抜かれ、穴が開く。朱雀は ゴポッ と血を吐き、倒れる。彼女は亡くなった。

 「ヒーラーを見るとムシャクシャする…」モンスターが小声で言った。

 …ヒーラーが殺られた。それが意味するマズイことは沢山ある。

 まず、回復が封じられた事。それによって生存が絶望的に難しくなった。

 次に『このモンスターはパーティーとの戦い方を知っている』ということ。パーティーと戦う時はヒーラーを潰す。これは鉄則だ。このモンスターは人を分かっている。

 もう一つ、このモンスターは『地球の言葉』少なくとも中国語を理解している。この世界では言葉を操るモンスターは確認されていない。

 つまり此奴はモンスターではない可能性が出てきた。例えば特殊部隊。どこかに存在しそうではある。

 基本的にS級は力の象徴なので人数は大々的に開示するが、アメリカ等ならS級の数は十分いるため、公表せずに特殊部隊に所属させるS級が1人くらいいる可能性は大いにあり得る。

 しかし、S級を瞬殺できるS級は果たして何人いるのだろうか。中国最強の玄武ですら白虎を人差し指で瞬殺は不可能だ。

 残りの者たちは考えることを放棄した。

 現在の目標は生存。それだけに全神経を注ぐ。恐らくあのモンスターは本気を出していない。ならば今殺すか、全力で逃げる。そのどちらかだ。しかし、彼らは逃げることを放棄した。

 彼ら…少なくとも青龍と麒麟は戦いを望んだ。

 それぞれが片想いしていた人間を目の前で殺されたのだ。許せるわけがない。

 「麒麟!詠唱を!玄武!やるぞ!『龍殺し・突』!」青龍が悔し涙を流しながら叫ぶ。

 「神の(いかづち)よ我が手に!貫くものを焼き払え!『インドラの怒り』!」麒麟も全ての怒りをぶつける様に魔術を作る。

 「落ち着け!青龍!麒麟!」玄武が止める間もなく青龍が突っ込み、麒麟の魔術は放たれる。右の二の腕に直撃。…何故アイツは避けなかった?

 流石に一定程度傷はつくだろうに思えた。しかし、そこに居たのは二の腕がちょっと火傷し、そこからちょっと血が出た程度のモンスター。避けなかったのではない。避ける必要がなかったのだ。

 「…」その時、無口だったモンスターの顔が明らかに曇った。これは…怒ってる。間違いなく白虎の高圧的な言葉の何倍も怒ってる。

 次の瞬間、モンスターは詠唱を始めた。

 「闇より黒く、闇より深い、混沌を極めし『アボルドム』重い制約と共に()()を顕現せよ。」

 「何の魔術の詠唱を唱えたか知らんが、俺達はお前を許さない!今ここで死ね!」いつもの2人じゃない。完全に冷静さを欠いている。

 「待つんだ!二人とも!」警戒しすぎて、動けない玄武の言葉に強制力は無かった。

 その直後モンスターの前には黒いゲートが現れ、そこから2本の腕が出できた。それらは2人を簡単に握り潰し、ゲートと共に消えた。

 時間にして5秒未満。そこの間にS級が2人も帰らぬ人になった。

 残り4人。現在日本組が緊急で応援に向かっている。

 …果たして間に合うのであるのか。

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