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クエスト13[遠い過去の思い出]

今回は過去編です。

中国には50近いギルドが存在する。そうしてその中でもずば抜けて強いギルドが2つ存在する。

 1つ目がS級が5人所属するギルド「青龍」。

 2つ目が代表だけではなくメンバーが誰一人不明で、所属している人間は全員コードネームを使い顔を隠す、全員が暗殺者のような謎に包まれたギルド「影狼」。

 今回は影狼の代表の話である。影狼の代表は初めは現代表の兄(6男)が務めていた。このギルドは宗教が発展したようなもので、代表は教皇のような立場の人間である。彼女はこの影狼の第83代目代表だった「セイ 星宇シンユー」の13女だった。現代表の彼女の名前は「セイ 柚月ユズキ」である。なぜ名前だけが日本語なのかというと、これは2年前に遡る。彼女はその時まだ14歳で名前は「(セイ) (シュェ)」だった。彼女の母親が日本人だったこともあり、彼女は純血ではないとして不当な扱いを受けていた。味方は6男の1歳差の兄だけであった。

 そんなとき、母が病死し、余計に居づらくなって日本に逃げて来た。

 その日、夜を公園で過ごしていた時に一人の少年と出会った。

 「君、大丈夫?」母の母国語が日本語なこともあり簡単な会話ならできたので答えた。

 「大丈夫よ。」しかし少年はすごくお節介だった。

 「いいや。違うね。君少なくとも家出してから数日はたっているだろ。」「なぜそう言い切れるの?」「体の汚れ、顔を見ただけでわかる疲労の蓄積、そうして君はこの辺では見たことない人だからだよ。」そんなに疲れていたのか…。「ちょっと触るよ?…君、熱あるんじゃないの?家、今日誰もいないから良かったらおいでよ。」そのまま少年の押しに負け、ついていくことになってしまった。

 「それじゃ行きましょ…。」立てない。そんなに重症化していたのか…。そんなとき少年が背中を差し出した。「乗って!」乗せてもらった少年のぬくもりは亡くなった母の記憶を思い起こさせ、目の前が少し滲んだ。

 そうしてそう離れていない少年の家にお邪魔することになった。「ただいま~。」「…家には誰もいないんじゃなかったの?」「いないさ、でもいつもは妹がいるからつい癖で言っちゃうんだ。」聞いてみれば、ハンターの親が行方不明になり、妹はたまたま修学旅行に行っているらしい。

 少年は私をベットに寝かせた。「これ、俺の服だけどよかったら着替えて、あとこれ解熱剤と頭痛薬ね。」

 「ありがとう…。」「じゃあ、俺はリビングにいるから何かあったら、呼んでね。」そう言って出ていこうとする彼を私は引き止めた。「…いて。」「何?」「今日はここに居て…。」今思うとすごく迷惑だったと思う。そうして私は彼に経緯をおもむろに説明し始めた。その話が終わったのは夜中の1時だった。それでも彼は真面目に最後まで聞いてくれた。「そっか。そうしたら君はどうしたいの?」私の中から気持ちがあふれてきた。「見返したい!彼奴等全員を!兄さんにありがとうって言いたい!ママに会いたい!会いたいよー」私は顔がぐちゃぐちゃになるほど泣いた。彼は騒がしく泣く私のことをいっさい怒鳴らず、優しく背中を擦ってくれた。

 私が泣き止んだとき、彼はこう言った。「君のお母さんに会うことはもう叶わない。でも感謝を伝えることと、見返すことはできる。覚醒しなかったとしても、別の分野で見返せばいい。君は家に帰るべきだ。」そうして次の日、彼は私を空港まで連れて行ってくれた。「それじゃあ、またね。」「そういえばあなたの名前、聞いてなかった。あなた名前は?」「赤月 亮。君は?」「私は父がつけた名前を名乗りたくない。貴方が私の名前を決めて。」「う~ん…柚月なんてどう?」「柚月…いい名前ね。ありがとう。私の名前は青 柚月よ。」彼はいい人だった。もう会えないだろうけど…。その会話を最後に私は中国に帰った。その後青家は、世界中で一時期話題になった。青家にS級が生まれたこと。そうして継承権を持つ人間が次々と毒殺されたこと。6男が過労が原因で亡くなったこと。そして次の当主が公開されなかったこと。これらが同時に起こったからであった。

 「亮…ありがとう。」青家の本拠点の城のベランダのような所から私は、日本の方を向いて深く一礼をした。

気軽に読んでください。初めての作品なので、感想などを頂けたら嬉しいです。

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