36 決着side三吉
36 決着side三吉
関ケ原は東西両軍多くの骸で埋められた。
戦いは泥沼の戦況に陥っていたが、西軍の兵糧が尽きたのが東軍に知れ渡った。
それが肝となり、餓死寸前の西軍諸将を刈り取っていた。
既に兵糧もなく腹をすかせた西軍は抗う気力もなしに勝手に崩壊を遂げた。
東軍も総攻撃の狼煙を上げて徹底的に西軍を痛めつけた。
島津義弘も討ち死に。
楽毅の子孫である楽毅兄妹も関ケ原中央で豪姫軍の猛攻にあい、兵力の少なさもあり、結局は遊軍の本多忠勝によって討ち取られた。
勝手にバタバタと餓死寸前で倒れていく栄養失調の西軍諸将は無理が祟って捕縛された。
追い詰められた西軍総大将石田三吉は腹の虫が収まらず、徹底抗戦を続けようとしたが、兵糧の計算も杜撰な三吉には着いては行けないと西軍の黒田官兵衛は三吉を縄で縛って、全面降伏した。
三吉は東軍本陣に連れて行かされて、徳川秀康と対面した。
縄を解かれて、床几に座る偉丈夫の徳川秀康を見上げる。
周りには険しい顔をした東軍諸将と黒田官兵衛が睨みを利かせていた。
黒田官兵衛以外の捕縛された西軍諸将は餓死寸前で本陣で倒れていた。
三吉もお腹がすいて限界だった。
何故か黒田官兵衛だけは肌の血色が良いのが意外だった。
そう。
黒田官兵衛だけは隠れて食べていたのだ。
そのことが発覚して、三吉は大怒りだったが、他の諸将は飢え死に寸前で何の反応も示せなかった。
三吉だけはカステラを食べていたのでまだマシな方だったのだ。
偉丈夫の徳川秀康は三吉に煽るように見せつけながら饅頭を食べていた。
「どうだ? 羨ましいだろ。私は甘いものが好きでな。
特別にお前たちにもお茶と饅頭を食べさせてやる。
餓死寸前の戦犯どもに特別に与えてやるのだぞ」
そう言って、部下に命じて冷たいお茶と饅頭を振るまった。
三吉は震える手でお茶をがぶ飲みして、沢山の饅頭を貪った。
黒田官兵衛はニヤニヤして、酒を煽っている。
「三吉様、御覚悟めされよ。あれれ、三吉様は女子のように見えますな」
黒田官兵衛は三吉の正体を見抜いた。
正体を暴かれた三吉は発狂寸前だった。
だが、満腹状態の為、平静を装い、性別を偽ろうと必死だった。
「本当だ。女子のように見える」
徳川秀康は三吉を指さして言った。
「遂に馬脚を現しましたな。
どうせ、三吉様を男子のように育てたのは佐吉様だろう」
黒田官兵衛は感づいていたのだ。
三吉が女子だというのに気付いて馬脚を現した途端に糾弾する予定だったのだ。
まさか、目論見が露見するとはと、父である佐吉も饅頭を頬張りながら大慌てだった。
「これより、戦犯共の処遇をどうするか決めるのを開始する。
まず、西軍諸将は改易処分とする。改易となった諸将は徳川に仕える下級武士に降格。
私は幕府を開いて、日の本を統治する。
そして総大将の石田三吉……性別を偽り、御上を謀った罪で死罪と見せかけて、あえて私の正室とする。佐吉様は天下に比類ない才覚を持っているので、大老とする。
裏切った黒田官兵衛殿も、もう一人の大老とする」
そこまで言われて三吉は号泣して、ワンワン泣いた。
「三吉……従う他あるまい。私が悪かった。
お前を鍛え上げて、最年少の天下人にさせたかったのだ。
だけど、お前は本来、女子……無理に決まっているだろう」
父、石田三成は最後にそう言って床几で沙汰を言い渡す徳川秀康に平伏した。
三吉もこれまでか、と思い、平伏して、
「徳川秀康様、貴方様と添い遂げます。
不束者ですが、どうかよろしゅうございます」
三吉も平伏して顔を赤らめる。
「……そうか。共に良い国を築こう。
苛めや差別や人を陥れる人間がいない世を造ろう」
「……はい。全力で補佐いたします」
三吉は恥らいながら同意した。
その場にいる全員が秀康に首を垂れ平伏した。
こうして徳川幕府が開かれるのであった。




