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24 敗着side羽柴秀吉

 24 敗着side羽柴秀吉



 烏がついばむがごとく大量の骸が晒しものになった。

 小牧長久手での敗着により、羽柴秀吉の求心力は低下した。

 秀吉は生まれてこの方、負けたことがなかった。

 まさかの大敗北により、秀吉は唖然呆然とした。


 ――やはり、三河武士は強い! 何とかしないとのう。


 本陣の床几にて、顎に手をやりながら、思案に暮れた。

 自分が自ら采配すれば五分に持ち込める。

 いや、大損害も被る上に此方は池田恒興と森長可を失っているのだ。

 これは痛い打撃だった。

 この二人は有力武将の上に貧しい生まれの自分に好意的だったからだ。


「殿、ここは和睦しましょう。

 そもそも徳川に戦で勝とうとするのが間違いだったのです。

 精強な三河武士は武田とも戦っていたのですぞ。

 武田騎馬軍団と武田二十四将の殆どは徳川四天王にやられている。

 この黒田官兵衛、戦わずに徳川を屈服させる方法を伝授いたします」


 この苦しい状況での献策は上出来だった。

 ここに佐吉様がおられないのが苦しいが、大軍師足る黒田官兵衛がいる。

 黒田官兵衛がいて秀吉は助かったと素直に思った。

 黒田官兵衛は腹黒く、どす黒い物を抱えているが、小早川隆景程に有能な御仁だ。

 今の内だけは厚遇してやると見せかけて、やっぱり厚遇しよう。

 しかも最近は黒田官兵衛よりも佐吉様の方が、危うい人物となった。


「官兵衛、献策痛み入る。儂もお前の考えを読めた。

 ここは和睦して、朝廷に大量送金して関白にまで出世すれば、自ずと徳川は屈服する。

 無理して戦で勝とうとするよりもその方が良いだろう」


「流石に御理解が早い。真に良き御主君です」


 黒田官兵衛は余裕の笑みでニヤニヤしていた。

 全く、策略家と言う者はひねくれた者ばかりだ。

 中でもまともだと思っていた佐吉様も子が出来てから狂い始めた。


 ――頭がおかしいよ。三吉様を超人にする計画とはな……。


 そんな計画にすると佐吉様が仰せられた時に秀吉は大怒りだった。

 絶対に三吉様を佐吉様の道具にはさせないと秀吉は誓っている。

 雑念を振り払って目の前の問題に全力で解決しなければならない。

 徳川が和睦に応じてくれるのか。


「殿、徳川との和睦する策を献策しましょう。

 徳川に使者を送るのです。

 未だに此方には兵力が十数万あり、綺羅星の如く諸将が多く存在すると誇張表現するのです。

 徳川殿、貴方が今まで相手していた羽柴軍は雑兵の集まりで、今自分たちがいるのが本軍だと力説するのです。さすれば和睦に応じてくれるでしょう。

 和睦に応じてくれたら、ささやかながら贈り物を用意すると。

 その贈り物は既にこの黒田官兵衛が用意済みです。

 贈り物にも幾つかの策が込められています」


 黒田官兵衛がまたしてもニヤニヤして献策を披露する。


 ――黒田官兵衛……何という高知能だろうか。儂と同等の才覚の持ち主だ。


 まだ此方には兵力八万も温存している。

 徳川は四万ぐらいだが、兵の質が違い過ぎる。

 戦ごっこの軍隊と戦国最強軍団との差は大きすぎる。

 自分が采を振るえば、強い軍に瞬く間に成るが、勝手に攻めた池田恒興と森長可は愚の極みだ。

 あ奴らの一族は改易するのだが、と秀吉は醜く顔を歪めた。

 そう、実は羽柴軍は高知能軍団で構成されている。

 単純な武力よりも機転で行動するのが貴いと秀吉自身思っていたからだ。


「羽柴軍は高知能軍団、その意味が分かるか? 官兵衛……」


 問いかけるように秀吉は言葉を投げた。


「成程……殿の叡智の秘密が分かりました」


 そう官兵衛は目を静かに瞑って返した後、ボソッと此奴……と呟いた。

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