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20 中国大返し

 20 中国大返し



 佐吉は中国攻めの軍勢の中に従軍した。

 徳川の家臣でもあるが、今は羽柴家家臣でもある。

 その為、佐吉は行ったり来たりを余儀なくされていた。

 佐吉の長女である三吉はすくすくと育っている。

 中国攻めの軍にいる中、娘の将来を想っていた。

 この子を最初見たとき、ピンときた。

 必ず超人的な人物となることを。

 最強人物とさせるためにあらゆることをさせて見せよう。

 多分、三吉は友達は出来ない。

 その代わり、史に名を遺す人物に成ることは確定的とみて良かった。

 そんな思いを抱えながら、羽柴の軍に従軍する。

 秀吉に備中高松城の水攻めを進言した。


「佐吉、良く進言してくれた」


「いえ、労せずして相手を完全降伏させるのは上策と言えるでしょう」


 その結果、水攻めは成功。そこで事件は起こった。

 突然の書状が届いてしまった。

 そこに書かれていたのは織田信長公が亡くなった。


「佐吉、上様が亡くなられただと!?」


 秀吉は書状を握り締めてわなわなと震えている。

 その時、羽柴家の大軍師と評される黒い格好で黒田官兵衛がおもむろに出てきてこう告げた。


「殿、これは運が向いてきましたぞ」


 一瞬、佐吉はこの御仁、何と言ったと思った。

 黒田官兵衛……前々から不穏な人物だと思っていたが、気が触れたか。


「官兵衛様、上様が亡くなられたのだぞ」


 ――その物言いは言語道断だ。


「上様が亡くなられた事は確かに残念でしょう。

 ですが、この状況、流れは殿にございます。

 ここで毛利と和睦して明智を討てば天下は我らに転がり込む」


 黒田官兵衛は不気味な欲望を上乗せされた顔をする。

 確かに善悪の観念を度外視してみれば、この機に明智を討てば殿に天下が舞い込む。

 佐吉とてそれぐらい軽く読める。


「官兵衛殿の申す通り、悲しいですが上様は亡くなられた。

 毛利と和睦するのは当然。そこから反転して明智を討つのが道理でござろう」


 二人の軍師に諭されて秀吉は毛利と和睦を決行。

 反転して中国方面軍は一気に畿内へと進軍、山崎の地で決戦を迎えるのであった。

今回はここまで。

読んでくださりありがとうございます。

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