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16 宴6side佐吉

 16 宴6side佐吉



 遂に宴が始まった。

 宴席にて佐吉は明智光秀の隣の席に座していた。

 上座にて織田信長が徳川家康の隣に座していた。

 普段は冷静な物腰の明智は緊張している。

 実は宴席は緊張感が漂っていた。

 何故ならば上様が居られるからである。

 皆、上様の機嫌を伺っているが、上様は仏頂面で盃を口に運んでいる。

 上様は料理に舌鼓を打っている様子がない。

 何やら不穏な気配を佐吉は敏感に察知した。

 もしや、と思い佐吉は料理の鯛を口に運んで絶句する。


 ――腐っているだと!?


 上様、もしやお冠なのでは、と佐吉は動揺する。


「上様!」


「佐吉様も気付いたか。光秀! この鯛、腐っておるぞ!」


 上様は突然、立ち上がり、明智の胸倉を掴んで優しく突き放した。

 それを見て上様そんなに怒っていないなと感じたけれど料理が腐っているのが問題だ。

 明智にはあるまじき失敗に佐吉は戦慄する。

 その場に居合わせた者は狼狽する者が続出した。


「皆の者! 今すぐ料理を口に運ぶのをやめよ! 食当たりになるぞ!

 料理は下げよ! 気分が悪くなるものが出たら申し出よ!」


 上様は皆に的確に指示を出して明智に詰め寄った。


「上様、申し訳ございません。何卒お慈悲を!」


 明智は滂沱の涙を流して土下座して頭を床に付けた。

 上様は般若の如く恐ろしい形相で明智を睨んでいる。

 皆は明智が震えて泣いているのを見て恐ろしいものを見たと思っている。

 佐吉は日頃から静と動を意識しているのでぎりぎり平静を保っているがやはり恐ろしかった。


「この狼藉者が! 何が大大名だ! 今すぐ出ていけ! 目障りだ……」


 明智は顔を涙で濡らしてその場を後にした。

 その瞬間、上様の眼に光るものがあるのを佐吉は見逃さなかった。


「上様……」


 佐吉は思わず上様に言葉をかけた。


「佐吉様、お見苦しいものを見せた。光秀を慰めて下さらぬか」


 上様は般若のような顔を引っ込めて優しい笑顔で佐吉に言った。

 その意図を敏感に察した佐吉は、


「勿論でございます。では、これにて御免」


 佐吉はそう言うと光秀の後を追った。

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