13 宴3side玉
13 宴3side玉
父上は自分の諫めで元の父上に戻った、と玉は確信した。
玉は光秀の宴の補佐をしようとしたが、佐吉様に出しゃばりは災いの元ですと言われた。
生来、玉は少し出しゃばりだと叱られる場面があった。
自分を溺愛している光秀にも、そこが欠点のようだと御指摘があった。
宴に招かれたのも父である光秀を心配していることを上様に見抜かれたからだった。
玉は感激して安土城へとやってきた。
光秀の諫めが成功した玉は夫である細川忠興様の元に走った。
「忠興様! 父上は宴の準備を滞りなく収めると」
細川忠興の自室の障子を開けると忠興は飾り気のない部屋で上座にて書物を読んでいた。
壮麗にして美麗な造形をした顔の美男子が凛とした面持ちで玉を見据えた。
「玉、明智殿は万事滞りなく収めると覚悟を決めたか?」
その鷹のような眼は正に貴公子そのものだった。
思わず玉は目を奪われて見入ってしまった。
顔を赤らめるほどに忠興は格好良かった。
この目の前の貴公子が自分の夫で良かったと、心の底から言えるほどに。
「ええ。必ず万事滞りなく収めると言っておりました」
玉は慌てて言葉を述べた。
「……そうか。究極の才人と謳われる佐吉様が、良くない占いの結果が出たと聞いて私も不安になっていたのだが、私は明智殿を信じている」
その瞳は淀みが一切なかった。
やはり、この御方に嫁いで良かったと心の底から玉は感じ入る。
何しろ、大好きな自分の父を信じると言ってくれたのだから。
「玉、これは明智殿の戦だ。出しゃばりが過ぎるお前の出る幕ではない。
大丈夫だ。明智殿は必ずや宴を成功に導くであろう」
扇子をバチンと閉じて書物を読むのを止めて忠興は朗らかに不安がる玉を宥めた。
その笑顔を見て玉は安堵の息を漏らした。




