11 宴
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11 宴
安土城――。
佐吉は羽柴と徳川の共有家臣として躍進を続けていた。
そんな佐吉であったが、織田右大臣織田信長のお気に入りでもあった。
それどころか佐吉は日の本全土に名を知られた究極の才人でもある。
その才覚は細川藤孝殿を軽く凌駕すると謳われる程であった。
佐吉の一番の友人は大谷吉継であるが、二番目に仲が良いのは何と明智光秀。
年が離れすぎではいるが、佐吉は彼の才覚に惚れ込み、明智も佐吉の才覚を愛した。
何とその友人である明智光秀が徳川家康の為の宴の指揮を任されるという大役を授かった。
その指示を下したのは信長だが、佐吉は何やら悪い予感がした。
得意の占いでも悪い結果が連続して出た。
彼に忠告をしなければと佐吉は家臣の眼を振り切って走った。
超スピードで明智光秀がいる部屋へと急いだ。
「明智殿! 明智殿! ご忠告を!」
ゼイゼイ息を切らして膝に手をやり、眼光鋭き御仁である明智に言った。
明智は余裕ぶっこいている。
――何だ!? このざまは? あの明智殿が!
少しどころか、かなり調子に乗っているのがありありと見て取れた。
「佐吉様、如何した?」
キョトンとした顔をする明智。
自分の友人である明智殿ともあろう御方が、思惑を読み取れないのはおかしい。
いつもの明智ではない。
――何が如何しただ。調子に乗りすぎ。
「私の占いに悪い結果が連続して多発。宴の指揮は他のものに任せた方がいい」
大慌てで佐吉は思いの限りに捲し立てた。
普段は極めて温厚で冷静な佐吉だが、絶対に悪い結果に結びつくことを友人にはさせたくはなかった。
明智はふんぞり返る程に油断した佇まいを見せている。
宴の指揮を任されて余裕綽々な態度がありありと分かる。
それが駄目なんだと、佐吉は力説する。
油断すると人間は足元をすくわれるのだ。
何で、究極の才人と謳われる自分の友人がこれに気付かないんだ。
「何を言う、佐吉様。私が、失態を起こすとお思いか?」
「いや、必ず貴方は失敗する。私にはそれが分かるのです」
佐吉はその妖しく光る眼を明智の鋭い眼光にぶつけた。
明智は目をそらさない澄んだ眼で見返す。
自分を信じて疑わない。
そんな共感を得るような目だった。
その才覚が帯びる眼が佐吉は好きだった。
明智の才覚に佐吉は惚れているのは明白だった。
しかし、明智は融通が利かないのが評判だった。
融通が聞かないのが玉に傷だが、そんな明智が好きだった。
明智の全身からは妖しい輝きが放たれている。
だが、明智は必ず致命的な失敗する。
佐吉の予見は絶対なのだ。
「ふん! 幾ら佐吉様とは言え、私に意見を申すな!」
――明智殿。見損なったぞ。
佐吉は一筋の涙を流して佐吉は後ろを振り返ってそのまま走った。
只々悲しかった。
明智は、自分の友人は必ず破滅する。
その序章が幕を開けるのだった。




