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10 徳川家康の苦悩side徳川家康

 10 徳川家康の苦悩side徳川家康



 三河国を治める徳川家康はとある問題に悩んでいた。

 それは次男である於義伊が優秀過ぎる。

 本当に自分の子なのか、と疑う程に美形すぎる。

 自分の顔立ちは平凡そのものなのに、息子である於義伊はスラリとした美形なのだ。

 佐吉様から聞いたところ、一を聞いて千を知る神童だと言っていた。

 佐吉様は於義伊は必ず神話に名を遺す人物になると公言して憚らなかった。

 そんな自分と違い過ぎる息子を家康は疎ましかったと見せかけて誇りに思っている。

 だけど、ちょっと調子に乗りすぎる性格だと家康は見抜いていた。

 佐吉様の申すところによればあらゆる難解な問題にも完璧にこなす実現力があると。

 確かに誇らしい。

 あれほどの器量ならば次代に大きく期待を寄せることが出来る。

 しかし、本当に自分の息子なのかと猜疑の眼を向ける自分が嫌だった。

 たまには優しくしてあげなければな、と家康は思った。

 自分も今川での人質時代、雪斎に鍛え上げられて地獄を見た自分。

 息子も佐吉様に執拗に鍛え上げられているという。

 やはり優しくすると言う方針を固めた。

 そうと決めた家康は浜松城の一室で於義伊を呼び寄せて食事を共にする。


「お父上様、お久しゅうございます」


 女性のような柔らかな声音が響く。

 その瞬間、家康は馬鹿な、と思った。

 於義伊の背丈が鴨居ぎりぎりまで高くなっていたからだ。

 幼子がそこまで長身とは……頭がおかしいほど高すぎる。

 何かの病気じゃないのかと思う程の高さだった。

 しかも超美形。あり得ないほどの顔の造形だった。

 足が異常な程長すぎる。日の本の人間離れしたスタイル。

 明らかに徳川の……松平の血ではないのかと勘ぐってしまった。

 どの大名家の子だ? まさか織田様が? はたまた長宗我部元親?

 その刹那――家康はすぐにその考えを取り消した。

 我が子を疑うのはあってはならないと必死に打ち消した。

 だけど、家康は不安になってしまった。

 吹けば飛ぶような儂よりも高いなどと……。

 それははっきりと嫉妬の気持ちだった。

 自分も偉丈夫になりたいと思っていたのに。

 どうして天の神様は息子ばかり優遇するのかと。

 ならば……と。


「於義伊、久しぶりだのう。どれ、もっと近くに寄れ」


 ニッコリと作ったような笑顔で笑いかけた。

 本当は憎い気持ちもあった。

 それを家康は押し殺しているのだ。

 今の家康には昔の自分にはない激情を抑える胆力がある。

 儂の眼の黒い内は調子には乗らせない。



「於義伊、共に食事ができる事を嬉しく思うぞ」


「有難く……」


 終始ニコニコしながら食事を堪能した。

 その後、家康はおもむろに囲碁の碁盤と碁石を用意させて於義伊と打ってみた。

 嫉妬の炎に狂う家康は全身全霊を掲げて本気を出した。

 しかも互戦と言う鬼畜ぶり。

 家康は絶対に勝てると思ったのも束の間、石をあっと言う間に全滅させられた。


 ――畜生! 儂の石が全滅。絶対に儂の息子じゃない。


 やはり、佐吉様に鍛え上げられただけある。

 良い師匠に就いたな、と家康は嫉妬の心が渦巻く。

 儂よりも強いなんて、儂の子ではない。

 もしや美形高身長の碁打ちの子なのでは……?

 心の中で容赦なく疎んでやる。


「於義伊、お前は神話に名を遺す子になる。自慢の息子じゃよ」


 ニコニコ顔を崩さずに家康は嘘をついたと見せかけた。

 本心では小童と吐き捨てたのだ。

 だけど、子と言う者は親を超えていくもの。

 所詮は親は子の踏み台にすぎないのだ。

 於義伊は絶対に強い子になる。


 ――絶対にお前になど家督を継がせるものか! と言うのは嘘。


「お父上様、私は絶対に徳川家に繁栄を齎します」


 それだけ言うと踵を返して於義伊は部屋から退出した。

 その後ろ姿を見て、舌を出して家康は煽りまくった。

今回はここまで。

まだ書き貯めが十分あります。

読んでくださりありがとうございます。

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