【プロットタイプ】夕立で流したもの
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
恋愛っぽくないですけど、恋愛です。
雨の話もそうだけど。湿った話になっちゃうね。
鏡花が友人と手を取りあったその日、夕立が降った。窓を叩き付ける雨音が次第に酷くなり、桜の花の様な模様を描き出す。
彼奴は傘を持っただろうか? そんな思いが届く事無く、彼奴は帰って来た。
髪の所々に露が着いている。其れはラメの様に独特な輝きを齎し、何時もと違う光景を映し出す。決してずぶ濡れ、という程のものでは無かった。小雨に当たった程度の風貌だった。
鏡花は俺の顔をじっと見詰めている。澄んだ聡い視線は、一体何を求めているのだろう。
「とりあえず、風呂入れ」
「お湯入れてい?」
「好きにしろ」
「お風呂でお話聞いて」
「気が向いたらな」
そんな短い会話の後、彼奴は何も言わずに、風呂へと直行した。
脱衣所で脚を崩し、天井を仰いでいると、タンタンと硬いプラスチックを叩く音が聞こえて来た。どうやら入っても良いという事であるらしい。
だから俺は戸を開く。手短にあった風呂椅子に腰掛ける。録に拭いて居ないので、尻が濡れたが気にする事はない。
鏡花は湯船から顔と腕だけを出して、何処か惚けた顔をしていた。
「今日は神社に行って、餡蜜食べたの。其れで店を出振る時に、夕立に見舞われたの」
どうやら俺が雨音を確認している時、鏡花は雨に当たっていたらしい。其れでも濡れ鼠になる事はなく、水滴をパラパラと体中に纏っているだけに済んでいた。
「傘、貸して貰った。半分だけ」
成程。其れで随分と被害が小さい訳だ。
折り畳みと言えど、体の半分でも守って貰えるだけ、まだマシになる。そんな疑問点をポロポロと解読して行くと、また徐に口を開いた。
「禊の雨って知ってる?自分が抱えている嫌なもの、悪いもの、それらを全部雨に打たれて流すの。だから、今は君の事しか考えてないよ」
俺は鏡花の方を見る。目が合っているように思っているのは俺だけで、本当は首辺りを見ているのではないだろうか。合わせている様で、合わせて居ないのではなかろうか。
そうしてその言葉の様に、かなり灰色な話をしているのでは無かろうか。
「流されたのは、半分だけだろ。其れで良い」
傘を差すのが、特定の誰かと決まっている訳じゃない。
「髪、乾かして」
「自分でやれ」
「ヤダ。……ヤダ……」
「今回だけだぞ」
小説では『ガールズラブ』要素がほぼないので、タグ付けしてません。
これでタグ付けしたら、『ガールズラブ』を期待して下さる方に、申し訳が立たないので。
今回、鏡花は嘘を吐いたので、そこに要点を絞って見て行きましょう。
『君のことしか見てないよ』
これが恐らく、鏡花の吐いた嘘。
小説の中での考察ということで、根拠でも。
『禊の雨』って言ってますが、傘を借りたので、ずぶ濡れではありません。半分だけ湿ってます。
だから『完全に悪いものを落としきった』という訳ではなく『半分だけ落とした』
という解釈が出来ます。
ではその心に残った半分の悪いものは何なのか。
鏡花は傘を差し出されて、半分だけ身を守る事が出来ました。
つまり『傘を差し出した人の思い』は流されて居ないんです。
だから『瑠衣の事しか考えてない』というのが嘘で、『瑠衣の事、半分だけ考えているよ』という意味。
其れを見抜いた上で瑠衣はこう答えてます。
『傘を差し出すのが特定の誰かと決まってない』。
雨は自分の中の悪いものを洗い流すという意味で作中使われてます。
其れが大事であっても、悪いものになる事はあるんですよ。
つまり、『俺以外にもお前の大切な思い守る奴や、その対象に守れる事もあるだろ』という意味。
じゃあ捨てたくない、けども悪い思いって何なのかって言われたら、『恋心』だよなぁと。
だからと言って恋愛タグ。
瑠衣の方が一枚上手。全部見抜かれてる。
だから其れに反抗して駄々を捏ねてるんですよ。