僕の魔力
「では、このコップに水を注いでみましょう。まずはコップの上に手をかざして」
結局魔力の属性がわからなかった僕は、一通り試してみることとなった。まずは比較的簡単と言われる水魔法から。
魔法はイメージが大事。コップに水を注ぐイメージで少しづつ力を込める。
そっと目を開けると、コップの底にうっすらと水があった。
「水属性はあるみたいですね」
何とも言えない量の水に多少は役立ちそうかもしれないという表情。僕ももう少し水が入ってると思ったんだけどなぁ。
「では次は火を」
危険がないように外に配置されたかまどに案内される。かまどに向けて同じように力を込める。ほんのり小さな火が灯った。
「ではこちらに穴を」
土魔法に適した地面で穴を開けてみる。苗を植える時に空いている穴をイメージしたものの、出来たのは水たまりのあとのようなうっすらへこんだ地面だった。
「基本属性は全てお持ちのようですね。ただ、どれを伸ばすかは今後次第かと。他の属性についてはまだ発現させるには早すぎるので、10歳まで待ちましょう」
「はい、ありがとうございます」
あまり魔力がないのか、属性がある分少ないのか、期待した龍なんてのはもっと先の話になりそうだった。3属性あるのは嬉しいけど。
「フェリクスはどの属性を伸ばしたい?」
「やっぱり火かな」
炎の龍が出せたらきっとカッコイイ。
そんな動機で火属性を強化することにした。
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「あまり向いてないのかな……」
半年間、かまどで水が茹でれるぐらいの火を出す練習をしていたけど、あまりに上達が見られない。
「もっと火が出ますように」
火を増やすのではなく手に力を込める。
すると、今まで見たことがないぐらい火がついた。
「えっ!」
「フェリクス!」
父上が直ぐに水を出して火を消した。
「どうした? あんなに火が出せたなんて」
「わからない……」
いきなり火が出た手を見つめる。いったい何が起こったか分からないが、力が増えた気がした。
「他の属性だったりするのかしら?」
母上も慌ててやってきて首を傾げる。
「分からない以上、魔法の練習は迂闊に出来ないな。教会に行くまでは練習禁止だな」
「はーい」
いきなり増えた火については教会で聞くまでお預けみたいだ。