魔力測定
6歳の誕生日の翌月1日に魔力測定を行うのがこの国のルールだ。
生まれてすぐに本の魅力とりつかれた僕は、気づけば家中の本どころか近所の家にある本を読みつくし、ちょっとばかり頭がいい子供になってしまった。特に魔法はとっても面白そうで、早く自分の属性が知りたくてうずうずしていた。
そんな僕の気持ちがわかったのか、弟のルークが近寄ってきた。ルークは年齢の割に大きめで、たった2歳しか変わらない僕は抱っこしてあげることができない。それどころかもう2年もしたら同じ身長になってしまいそう。
「にいさん、たのしそうだね」
「わかる? 今日は魔力測定に行くんだ。どんな魔法が使えるか楽しみで」
火属性なら炎の龍、水属性なら水の龍、土属性だったらやっぱり岩の龍かな。魔法で龍を作って操って魔物を倒すのが夢なんだ。
「フェリクス! ルーク! 手伝って」
「はーい!」
わくわくな魔力測定の日もうちの食堂は大忙し。いつものように、言われた席に食事を運ぶ手伝いをする。
「フェリクス、今日は魔力測定の日なんだって?」
「そうなんだよ、セオドアおじちゃん。どんな魔法が使えるか楽しみ!」
「あんまり無茶なことはするなよ」
「はーい!」
本に書いてあった魔法はたくさん覚えてる。まずはちょっとずつ。
火属性ならかまどに小さな火を。水属性ならコップに一杯の水を。土属性なら裏庭に小さな穴を。
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「ではこの水晶に手をかざして」
教会でお祈りが終わった後、神父様から一人ずつ呼ばれて、水晶に手をかざす。
やっとやってきた僕の番。目を瞑って手をかざした。
「これは……」
神父様の声で目を開けた。魔力測定の水晶は、自分の魔法の属性の色に光り、色が濃いほど魔力が強いとされている。
僕の魔力測定をした水晶の色は白に近いクリーム色になっていた。
「僕、どんな魔法が使えるの?」
白に近いクリーム色なんて本には書いてなかった。
水晶の色が変わったから魔法は使えるはずだけど、いったいどんな魔法が使えるんだろう。