表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/238

扉の奥の秘宝 (18) 膠着状態

鍵開け挑戦最終日の前日。フューイは切り札となるアイテムを取り出します。

さぁ、今日はゾルウッドの二回目のチャレンジです。もうすっかりおなじみの光景が繰り広げられますが、フューイにとって、少し予想外の出来事がありました。


一昨日と同じく、ゾルウッドは午後の早い時間で仕事を切り上げ、これまた同じく、気晴らしと称して森へと出かけて行ったのです。やる気があるのでしょうかね。


片や、翌日のフューイの挑戦。これも上手くは行きませんでした。既に習慣になりつつあると言って良い、同じルーティーンが繰り返されます。宿舎へ戻り、今日の成果を書き記す。そして夕食を取りに一階へという具合にです。


今日のメニューは川魚のソテーです。いつものように、そっけない顔で折角の料理を頂き、今日は食後のデザートまで食べてからゆっくりと自室へ戻ります。そうして部屋の中へ入ったフューイは、部屋の中を調べニヤリと笑いました。


そのあとも、それぞれが秘宝への扉に挑戦しましたが、お互いに錠前を突破する事が出来ません。しかしフューイは確かな手ごたえを感じていましたし、ゾルウッドの仕事時間も段々と伸びていきました。


「あら、珍しいアイテムですね」


食事を終えてコーヒーを飲んでいたフューイに、レネフィルが声をかけてきました。彼女はフューイとゾルウッド、二人の接客係なのでこうして若い細工師にも気を使います。決して、ゾルウッドだけにかまっているわけではないのです。もっともフューイは、彼女に対して面倒そうなオーラを放っていましたけどね。


「あぁ、これか」


いつもとは違い、夕食を終えた後も食堂でゆったりとしていたフューイの傍らには、直径三センチほどのレンズが組み込まれた小さなアイテムがありました。


「なんですの?」


レネフィルが、興味深そうに尋ねます。


「鍵開けに使うアイテムだ。これで鍵穴をのぞくと、構造がある程度見えるんだ。だが、錠前にも魔法が掛かっている場合、相性によってはこのレンズは壊れてしまう。


これは、大変貴重な品物なんでな。替えがないんだ。だから今回の挑戦には使って来なかったが、もうそんな事を言っている余裕はなくなってしまった」


フューイはアイテムを取り上げ、それを覗く仕草をしました。


「私は立場上、フューイさんとゾルウッドさんのどちらかを贔屓にするのは禁じられていますが、明日の最終日、頑張って下さいね」


レネフィルはそう言うと、食堂の奥へと消えて行きました。


さぁ、運命の十日目です。


「今日が最後。全力で挑んで行こう」


フューイが、五回目の挑戦を前に気合を入れます。今日、鍵開けに失敗すれば、彼の挑戦権は消滅するのです。泣いても笑っても、数時間後には結果が出ます。



「話は、いよいよクライマックスだ」


骨董屋「エンシャント・ケイブ」のオーナー・ゼペックが、二杯目のコーヒーを飲み干しました。この先の話次第で、目の前に座っている、少年の心を宿した大人二人のどちらかから、高いお金をふんだくる……、いえ支払っていただけるかが決まるのです。


「いやぁ、オーナー、話を引きますねぇ。もう結末を聞かないで、帰るわけには行かなくなっちゃいましたよ」


カウンターの前では、指先をクッキーでベタベタにしたマルロンがはしゃぎます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ