表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/238

扉の奥の秘宝 (14) のんきな細工師

フューイが鍵開けに失敗した翌日、今度は陽気な中年細工師ゾルウッドが秘宝への扉に挑戦します。

「ほれほれ、あんまり難しく考えなさんな」


ゼペックは空になった二人のカップにコーヒーをつぎ、一緒にバタークッキーを出しました。ボンシックと、二人の細工師が食べていたのと同じお菓子です。


「おぉ、こういうのが出ると、臨場感が増しますねぇ」


マルロンがキャッキャッと喜びながら、クッキーに手を伸ばします。繰り返しますが、この人、三十代半ばのいい大人です。


パパはそんな愛すべき骨董仲間に目をやりながら、一気に残り少なくなったクッキーの一つを取り上げました。


「さぁてと、いよいよここから、話は佳境に入っていくぞ」


インターバルをとったあとの、後半戦が始まります。



フューイが鍵開けに失敗した翌日。今度はゾルウッドが、作戦に挑む番となりました。


宝物庫最深部の曲がり角についた時、


「じゃぁ、さっさと開けて、褒美は頂きだ。昨日開けられなかった事を、後悔した方がいいな」


と、ゾルウッドがフューイを挑発します。


「そうか」


相変わらず、ぶっきらぼうに応えるフューイ。


それを気にする事もなく、ゾルウッドは宝物庫の前に勇んで行進していきました。


フューイは、その場に腰掛けます。ゾルウッドと違い、クッションもなければ暇つぶしの魔道具もありません。お尻が痛くならないんでしょうかね。


午前中、ゾルウッドの努力は徒労に終わりました。そして昼食後、再び彼の挑戦が始まります。フューイはそれを、見るとはなし見ていました。


監視と言っても、四六時中、ゾルウッドの方を緊張して見据えている必要はありません。彼が、”その場にいるかどうか”だけを確認すればいいのです。もし扉が開いて、陽気な細工師が中へ入れば、それは一目でわかりますからね。


「うーん、駄目だなぁ」


「ちきしょうめ」


「あ、なるほど」


黙々と鍵開けに集中していたフューイとは違い、ゾルウッドは事あるごとにコメントを発します。フューイは、それをただ黙って聞いていました。


こんな有様ですので、鍵開けが成功するわけがありません。


そしてついに、


「あ~、だめだこりゃ。今日はおしまい」


と、投げやりな声が長細い廊下に木霊しました。ゾルウッドは、早々に鍵開け道具を袋に詰め、意外にも軽い足取りでフューイの元へと引き返してきます。難敵に歯が立たなかった事など、余り気にしていないようです。


「今日は、終わりだ、終わり。見張り番、おつかれさま」


中年細工師は苦笑いをしながら、冗談めかしてフューイに作業終了を伝えました。


「もういいのか?」


若い細工師が、一応尋ねます。


「あぁ、ちょっと煮詰まっちまった。問題点は十分にわかったから、明後日の再挑戦までじっくりと対策を考えるさ」


「オレが明日、開けてしまうかも知れないぞ?」


フューイが念を押しました。あとで文句を言われてはたまらないからです。面倒事を避けるクセがついている、フューイならではの発言でした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ