扉の奥の秘宝 (8) パパの疑問
舞台は再び妖しい骨董屋。店主と常連二人が駆け引きをする。
さて、ここでお話はいったん現代へと戻ります。
「というわけで、二人の鍵開け名人が、この宝物庫の扉に挑戦する事となったわけさ」
骨董屋「エンシャント・ケイブ」のオーナー、ゼペックがカウンター越しに二人の客へと語ります。
「で、その宝物庫の中にあったのが、いま、目の前にある人形なんですね?」
マルロンが、しげしげと人形を見つめました。興味津々のようです。
だけどもパパは、少し怪訝な顔をしていました。
ゼペックさんは、まるで見てきたように話すけど、少なくとも500年以上前の話だよなぁ。どうして、こんなに詳しいんだろうか。
パパは、そう思っています。
この品は、誰でも知っている歴史的遺物というわけではありません。この手のアンティークマニアであるパパにも、初耳の話です。パパとしては「元はほんの少しの話なのに、ゼペックさんが、そうとう盛って話してるんじゃないだろうか」と疑っているのです。
何故かって? そりゃあ、パパたちに高く買ってもらうためにですよ。マルロンの方は、もう八分通り老獪な店主の策略にはまっているようですけどね。
「セディー、あんたの方はどうだい。興味は失せていないかい?」
ゼペックが、ニヤリと笑いながらパパの方へ顔を向けました。
「も、もちろんですよ。こういった品は由緒も大切ですからね。凄く興味があります」
突然に話を振られ、パパはドギマギしながら答えました。
「でも、今のお話には、ちょっと疑問がありますね」
「ほぉ、何だい?」
今度は、ゼペックの方が興味を持ちました。
「そもそも、何で民間の細工師を呼ぶのでしょう?
宝箱や強固な扉を開ける仕事ってのは、王宮の仕事の中にもあったはずです。他国から奪った宝箱を開けたり、領内のダンジョンを探索する時にも、細工師を連れて行ったはずですからね」
「つまり?」
パパの言わんとする事が理解できずに、マルロンが問い正します。
「王宮お抱えの細工師や鍵師を使えば、それで済むって話だよ。今の話だと、施設の管理者は二人が宝を盗むんじゃないかって、心配してるわけだろ? そう言ったリスクを抱えてまで、外の人間を雇う必要って何だい?」
「あ、なるほど」
マルロンが、ポンと手を叩きました。
ゼペックが、少し感心します。確かにその通りなんですからね。その商品の由緒に疑問が生じれば、価値は一気に下がってしまいます。パパは、意外とこういう所はしっかりしてるんです。ママが聞いたら「その力を、もっと家庭の中で使ってくれたら」と、愚痴をこぼすこと間違いないでしょう。
「まぁ、慌てなさんな。それは後のお楽しみだ」
ゼペックは、ニコニコして答えます。店主としてはすんなり売れた方が良いのですが、客との駆け引きを楽しみたいと思う心もあるのです。




