扉の奥の秘宝 (6) 奇妙な条件
宝物この鍵を開ける事になった二人の細工師。だが不思議な条件が課せられる。
ボンシックの返答に、
「へぇ、そいつぁあ、えれぇこって」
と、ゾルウッドは舌を巻きました。
「なぁ、ゾルウッド。何でお前は、そう詳しく聞きたがるんだ。もし今言った疑問がその通りだとしたら、お前の仕事はなくなってしまうぞ。当然ながら、約束した報酬も支払われない」
ボンシックが、不審げに中年細工師を見つめます。
「えっ? そ、そりゃぁまぁ、一応は色々な状況を知っておきたかったからですよ。その方が鍵を開けるのに、何かと役に立つってもんだ。そうだろ? 若いの」
答えに詰まった小太りの細工師が、隣に座っているフューイに助けを求めます。
「別に」
ニヒルを通り越し、氷のごとく冷たい返答をするフューイ。
「まぁ、いい。こっちは鍵を開けてもらえさえすれば、それで構わないんだから」
ボンシックが、二つ目のバタークッキーに手を伸ばします。
「それで仕事の手順なんだがな。一日交代で、一人ずつ仕事をしてもらう。残りの一人は、問題の扉のある部屋へ続く通路の突き当り、本廊下に繋がる場所で見張りにつく事。最終期限は十一日後だ
一人につき、五日間のチャンスが与えられる」
「へっ? 見張りって何ですか」
ゾルウッドが、素っ頓狂な声を出しました。
「だから、見張りだよ見張り。言葉通りさ。
お前たちは王宮が募集した、細工師や鍵師の選抜試験に合格したわけだから、腕前の方は素晴らしいものなのだろう。しかし人格まではわからんよ。
なぁ、もし一人で仕事をしていて、幸いにも扉が開いたとしよう。その時に一人きりだったら魔がさすかも知れないわけさ。中の宝物を服の中に入れた後、素知らぬ顔をして扉をもう一度施錠してしまう。その後、夜にでも抜け出せば大金持ちだ」
ボンシックが、とうとうと話します。
「いや旦那。それは酷いなぁ。確かに人格を試験された覚えはないけどさ。俺らは細工師ギルドの推薦を受けて試験に応募したんですぜ。信用出来ねぇってのはないでしょう」
ゾルウッドが、珍しく気色ばみました。確かにボンシックの言い方には、ちょっとトゲがありましたね。
「扉の中にあるのは、秘宝中の秘宝なんだぞ。推薦してもらったギルドに顔向けできない事になったって、トンズラする価値がある代物さ。だから、念には念をって寸法だ」
ボンシックはコーヒーを飲みながら、上目づかいにゾルウッドを見やります。
「……ちょっとまて、やっぱり、それはおかしいだろう」
珍しく、フューイが口を開きます。
「ここは宝物保管所なのだから、元々、常に護衛がいるはずだ。この宿舎の大きさからみて、三十人近くは兵隊がいるんじゃないのか?
鍵開けの最中、そいつらに見張らせれば済む話だ」
フューイが、鋭い意見を言いました。頭も相当切れる男のようですね。




