表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/238

魔女の薬 (18) ママの悩み

新米魔女のヤラカシは、とりあえず収束しました。でも自分を責め続けるママは……。

もちろん、それはネリスの直接の手柄ではありません。でも彼女がいなければ、発見できなかった事も事実です。魔女協会のお偉方はコリスの説得に加え、こういった経緯も鑑みて、ネリスに対する処分を決定したのでした。


ただこれは今のところ、魔女会議のメンバーの他は、ごく一部の魔女しか知りません。ましてや絶対にネリスには秘密です。それを知ってしまったらこの新米魔女、調子に乗って、再び何をやらかすかわかったものではないですからね。


「師匠、窒息に効く薬ってないもんでしょうかね?」


両腕を頭の後ろに組んだネリスが尋ねます。


「窒息? どうして?」


不思議そうに聞き返すコリスに向かって、


「だって、工場ではもちろん、家でも師匠と顔を突き合わせるわけでしょう? 息が詰まること間違いなしですよ」


と、ネリスはシレッと言いました。


「ネリス!!」


椅子から立ち上がり、立派な机をドンと拳骨で叩きます。


「じょ、冗談ですってば、冗談。じゃぁ、私は下宿の荷物をまとめて来まーす。引っ越し作業には、配送用の馬車を借りますねっ」


ちょっと言い過ぎたと思ったネリスは、慌ててコリスのオフィスを後にしました。


「ふーっ。一年間、大丈夫かしら……」


コリスのため息が、しんとしたオフィスに漂います。本当、前途多難なようですね。


では、今回のお話はこれでおしまい……ではありません。一つ大切な事を忘れていました。それは、ニール親子のお話の顛末です。


騒動から二週間ばかりが過ぎたうららかな午後、ママは二階の窓から庭をぼんやりと見下ろしていました。そこでは、ニールとパパが泥んこ遊びをしています。いつもなら「あぁ~、また洗濯が大変だわ」と、ご機嫌斜めになってくるところなのですが、今日のママは少し様子が違いました。


彼女は庭で遊ぶ家族と、自分のすぐ近くにあった鏡を見ながら、複雑な気分に浸っています。


実を言うとですね。ママはこの十日くらいの間、心はどん底にあったんです。何故かと言えば、それはもちろんネリスが引き起こした混乱のせいでした。


ママやパパも、自分が何かを忘れてしまったのは、魔女の工場から漏れ出た薬品が原因だったと、すぐに知る事が出来ました。パパはそれですぐさま納得したんですが、ママは釈然としない気持ちになりました。というよりも、かなり落ち込んでしまったのです。


私がニールの事を忘れてしまうなんて! 大事な大事な我が子の事を、微塵も思い出せなかったなんて!


”薬のせいだったんだから、仕方ないじゃないか”という、パパの慰めも全く耳に入りません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ