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魔女の薬 (9) パパが忘れたのは

物置から食堂へやって来たパパ。でもやっぱりパパも様子が変でした。

「ニール……。やっぱり、ご近所でも聞いた事がない名前だわ。本当にどこの子なのかしら」


ママは途方にくれました。でも、その時です。


「あぁ、腹減った。ごはん、ごはん」


いつもの如く、ガラクタ、もとい自慢の骨董品が詰まった地下の物置で、至福の時を楽しんでいたパパが食堂へとやって来ました。昨晩、ママとこのガラクタの件でケンカをしたのに、もうどこ吹く風です。


「あ、パパ。ちょうどいい所へ戻って来たわ。困っちゃっているのよ」


ママは、すぐにパパの方へと駆け寄ります。


「あ、パパ。ママが、ママが変なの。とっても変な事を言うの!」


ニールも椅子から飛び降りて、パパの方へ向かいます。この時、ママとニールにとって、パパは救世主のように見えたでしょう。でも、パパはニールだけの救世主でした。


「ニール、どうしたんだい。そんなに泣いちゃってさ」


パパがニールの頭を、ポンポンとたたきます。ニールは、今までの涙に輪をかけて泣き出しました。


「だって、だって、ママがボクの事”知らない子”だって! ボク、悪いこと何もしていないのに、ママがいじわるするんだ」


ニールの訴えに、パパは少し変な顔をしました。


「違うわ。全然、違う。この子が変な事を言うのよ。私の事をママだって。私は子供なんて生んだ覚えは、これぽっちもないのに。


パパは、この子が何処の子か知っている?」


手に負えないこの事態について、ママもパパに応援を求めます。


パパは、更に変な顔をしました。


「あ、あの。あなたは、どちら様でしょうか? この家は、僕とニールの二人家族です。もしかして、ニールの友達のお母さんですか?


まさか、その恰好で泥棒って事はないと思いますけど……」


パパが、ママ、いえ、知らない女性に言いました。変に刺激をして暴れられでもしたら大変なので、とっても丁寧な対応です。


「はい? ちょっとパパ。何、冗談を言っているのよ。そんな場合じゃないでしょ? そりゃ、この前、パパが買って来たガラクタ、じゃなかった骨董品を返品させたのは悪かったけど、こういうやり方で、仕返しするのは納得いかないわ!」


ママはパパのわけのわからない態度に、すっかり頭に来てしまいました。


「パパ、何言ってんの? ママだよ。ボクのママ。パパの奥さんじゃないか」


更に混迷を深めた事態に、ニールも黙っていられません。


「だから、私はあなたのママじゃないってば」


ママが、少しきつめに言いました。


「そうだよ、ニール。この人はお前のママじゃない。そして僕の奥さんでもない。それともニール。ママがほしくなったのかい?」


パパは、ニールをなだめるように言いました。


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