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魔女の薬 (4) 大失敗の予感

薬づくりに飽きたネリスは、ちょっとしたズルを考えます。

彼女は更に、フラスコやビーカーなどの道具を持ち出します。そうして何か、大掛かりな装置を組み上げていきました。


彼女に言わせれば、この装置を使えば短い時間で大量の薬が作れるはずです。ただコリスに言っても許可してくれるはずもないし、さりとて勝手に実験するわけにも行きません。今日は、千載一遇のチャンスなのです。


こういった工夫はネリスの才能の一つなのですが、まだ基礎もろくろく出来ていないのに大丈夫でしょうか。


ネリスは一気に装置をくみ上げ、満面の笑みを浮かべます。


「よぉーし、私ってば天才! これで言われていた量の三倍の薬を作れるはずだわ。コリス師匠の驚く顔が目に浮かぶわね」


”あなたはやっぱり、私が見込んだだけの事はある魔女ね”


そんな師匠の賛辞を頭に浮かべ、頬が緩むのを感じながら、ネリスはフラスコや試験官に薬剤を大量に流し込み、まとめて魔法をかけていきました。


「細工は流々、あとは仕上げを御覧じろ」


ネリスは、またもや年齢にふさわしくない、古めかしい言葉を口にします。


「じゃぁ、少し早いけど、お昼ごはんにしましょうか。じゃ、後はよろしくね」


ネリスは自慢の装置に声をかけると、食堂へ意気揚々と向かいました。複雑な装置はそんなネリスへ返事をするかのように、一瞬”ボコッ”と鳴りました。


食堂へ到着すると、彼女はランチの自動調理器の前に立ち、何を食べようかと迷います。


昨日はパスタだったし、その前はカレーライス。ここの料理って、美味しい物とそうでない物とで、割と差が激しいのよね。


そんな事を考えながら、ネリスはエビピラフのボタンを押しました。調理器はポンポンと音を立てながら動き始め、新米魔女のお腹を満たす料理を作り始めます。


やがて機械の正面にある扉が開いて、注文通りの美味しそうな料理がネリスの前に運ばれました。彼女はピラフが乗ったトレーを持ち、窓際の席へと向かいます。普段は先輩魔女たちが陣取っていて、新米のネリスが座れるはずもない特等席でした。


「さて、腹が減っては戦は出来ぬ。しっかり食べるぞぉ!」


まだ色気より食い気の方がずっと勝る新米魔女は、極上の料理を口いっぱいに頬張ります。


一方、こちらは薬の調合室。ネリスが出て行ってから暫くは順調に動いていましたが、何やらプスンプスンという音を立て始め、ビーカーやフラスコも震え始めました。


そんな事が起きているとは夢にも思わない新米魔女ネリス。お腹が膨れるのと同時に眠気が襲ってきます。昨日、夜更かししていたのが響いたのですね。え? 薬づくりの勉強をしていたのかですって? いえ、お気に入りの童話の新刊を読んでいて、ついつい寝るのが遅くなってしまったのです。

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