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パパの魔法 (8) パパ、大いに悩む

女の子の依頼に、パパは迷います。それは……。

「あれは、君の猫なの?」


パパは、一応確かめます。


「そう、うちの猫。パパもママも私も弟も、みんなが可愛がっている子猫のレリュットよ」


女の子が、訴えるような目をして答えました。


多分、登ったはいいけれど、降りて来られなくなったんだろうな。でも、このまま夜になったら結構ヤバイかも知れない。小猫には体力がないし、このまま疲労が重なっていったら、枝の間から落ちてしまう可能性だってある。あの高さだ。そうなったら、たとえ猫でも、まず助かるまい。


”今”、何とかしなくては……。


パパはそう思いましたが、何かを迷っているようです。でも、なぜでしょうか? さっきみたいに、空中を歩く魔法で助けに行けばいいではありませんか。


「足りるかな……」


パパが、真剣な顔でつぶやきます。


そうなんです。”足りない”かも知れないんです。何がって? それは残りの魔力がです。魔法を使うには、魔力が必要です。もし魔力を使い果たしてしまったら、回復するまでには相応の時間が掛かるのでした。


そしてパパの魔力は、もう少しで尽きようとしています。もし空を駆けている時に、魔力が切れてしまったらどうなるでしょう? パパは、真っ逆さまに落っこちてしまいます。


「どうしよう……」


パパは再び、つぶやきます。


ひとり身であるならばともかく、今はママの夫であり、ニールの父親です。こんな危険な賭けをするのには、迷いが生じます。途中で魔力が途切れれば、死なないまでも怪我をしてしまい、三人の生活に大きな支障をきたしてしまうでしょう。


パパは、逃げ出したくなりました。女の子を見つけなければ良かったとも、思ってしまいました。でもパパを責められる人は、誰もいないと思います。


「おじちゃん……」


事情を知らない女の子が、朝と同じように切々とパパに目で訴えます。


何か、何かいい方法はないものか……。


パパは必死に考えました。考えて考えて考え抜きました。それでもいい方法は浮かびません。誰かに助けを求めようと周りを見回しましたが、運悪く誰も通りがかりません。いえ、たとえ通りがかっても、やはり助けにはならないでしょう。


でもそんな時、一生懸命なパパに、神様が味方をしてくれました。進退きわまったパパに、グッドアイデアを授けてくれたのです。


心配そうな顔をする女の子に向かって、パパが、


「大丈夫だよ。僕にまかせて」


と、朝と同じセリフを言いました。


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