パパの魔法 (5) パパ、お仕事開始
さて、パパの職業は?
「いや、ほんとにすいません。申し訳ない」
パパは、必死に謝ります。そんなパパを見ながらノルホームは、
「いいや、許せん。あんたとの契約は打ち切りだ!……と言いたいところだけど、あんた運がいいぜ。実は親方、今日は寝坊してな。まだ来てないんだよ。昨日の夜は飲みすぎでさ」
ノルホームが馬らしく、ヒヒンとイタズラっぽく笑います。パパをからかっていたのです。
「もう、ひどいなぁノルホームさんてば。寿命が、三年は縮みましたよ」
パパは、はぁはぁと息を吐きながら言いました。ノルホームは悪い人ではないのですが、親方に似て少し居丈高な感じがする動物ビトでした。
「まぁ、時間通りに来た事にしてやっから安心しな」
今回、パパは実際に遅刻をしてしまったので、文句を言うわけには行きません。ありがたく、彼の申し出を受け入れました。
それからしばらくして、少し二日酔いをしたピプラゴ親方がやって来ました。五十の坂を越えたばかりの少し痩せた男です。パパからの挨拶も早々に、早速仕事へ取り掛かります。
ここでの仕事は、屋根の修理でした。この建物の家主から、雨漏りがするようなのでと相談があったのです。
親方が早速一階部分の店舗から階段を上り、屋根の上へと躍り出ます。さすが親方、年に似合わぬ素早い動きです。二日酔いをしていなければ、もっと素早いのですけどね。
それから十分程度でしょうか、親方は命綱一本で、瓦ぶきの上を器用に歩き回り、ある場所で動きが止まったかと思うと、そこへかがみこんで何やらしておりました。
「おぉい、雨漏りの箇所が見つかったぞぉ。これから言うものを持って来てくれ」
親方が遥か頭上から、弟子とパパに声をかけます。
「へぇい」
ノルホームは、テキパキと親方の要求通りの補修材やら道具やらを、持って来た荷物の中から取り出しました。
さぁ、ここからがパパの出番です。
「じゃ、セドリック。よろしく頼むわ」
ノルホームが、鼻を鳴らしながら言いました。
パパは早速、先ほどと同じ呪文を唱えます。黄緑の光の輪が足の下に現れ出たかと思うと、職人が用意したあれやこれらを抱えられるだけ持ちました。そして空中を踏みしめながら一歩、また一歩と、ちょっとした塔のような建物のテッペン目指して上っていきます。
結構大きな荷物なので、家の中の狭い階段を通るのは一苦労だし、下手をすると壁を傷つけてしまうのですが、外から行くので素早く安心して運べるのでした。
やがて屋根の上まで上り詰めると、パパは持っていた物を落とさないように親方へ渡しました。
「お、”高いところ屋”ご苦労、ご苦労」
親方が、上機嫌で喋ります。
そうなんです。パパのお仕事、それは「高いところ屋」さんなのです。どういう職業なのかと言えば、もう皆さんお分かりになっているとは思いますが、空中を歩ける魔法を使って、高いところと地上を行ったり来たりするお仕事なんですね。




