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パパの魔法 (4) パパ、魔法を使う

パパは女の子の願いをかなえるために、取って置きの魔法を使います。

パパは、悩みます。


これ、普通の人なら、そんな必要のない話です。だって、あんな高い所の風船なんて、取れっこありません。適当に誤魔化して、その場を後にするのが関の山でしょう。


でも、パパは違いました。ニールの父親になってから、以前よりずっと、他の子どもたちの事が気になるようになっていたからです。


「まかせといて」


自転車のスタンドを立てたパパは、女の子の顔を見ると、ニッコリ笑いました。そして、呪文を唱え始めます。


「黄緑の輪、光の輪。われの足元に集い、天空を駆けさせたまへ」


パパが言い終わると、彼の両方の足元に直径35センチくらいの黄緑色に光る輪っかが現れました。それを見た女の子が、目をパチクリとさせます。


パパは左足を少し上げ、上げた所の何もない空中を踏みしめるように膝を伸ばしました。すると、どうでしょう。パパの体は一段、ズンと上へと上がります。もう両方の足とも地面にはついてはおらず、四十センチは浮かんでいます。


パパはそのまま足を交互に動かしました。まるで、階段を上るようなアクションです。パパは、どんどん上へと昇っていきます。そして程なく、赤い風船の場所へと辿りつきました。


パパは風船が更に上へ飛んでいかないよう気を付けながら、そのヒモを手に取りました。そうして今度は、階段を降りるように女の子の待つ芝生へと向かいます。女の子の顔が見える場所まで来ると、彼女が驚きながらも風船が手元に戻る喜びを、顔いっぱいに表しているのが分かりました。


地面に到着すると、パパは、


「はい、もう可愛い子を手放しちゃだめだよ」


と言って、風船を女の子の小さい手に渡します。


「ありがとう、おじちゃん!」


女の子はそう言うと、道路の反対側へと走っていきました。


またもや、おじちゃんと言われたパパでしたが「おっと、ヤバイ!マジで遅れちまう」と叫んで、急いで自転車にまたがります。そして全速力で、ピプラゴ親方の待つ現場へと急ぎました。


さて、ここはパパの最初の現場である五階建ての大きなお家です。下の三階までがお店になっていて、上の二階が住居部分の背の高い設計です。


あ、パパの自転車が向こうの方から、息せき切って走って来ました。大丈夫でしょうか。ちゃんと仕事が出来るかな?


「はぁ~、お、遅れてすいません!」


現場の家のすぐ傍まできて自転車を降りたパパは、開口一番謝ります。


「いよぉ、セドリック。珍しく遅かったじゃないか。親方は、もうカンカンに怒ってるぞ」


親方の弟子であるノルホームが、ピシャリと言いました。彼は馬の顔をした動物ビトで、パパより少し年上です。


あぁ、それからセドリックというのはパパの名前です。親しい人からはセディーなんて呼ばれたりもします。


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