表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/238

パパの魔法 (3) 上を見つめる女の子

パパは仕事へ向かう途中、何故か上を向いている女の子を見かけます。

「さてと、最初は屋根職人のピプラゴさんの所だな」


一日のウォーミングアップとしては、まずまずの仕事です。パパは指定された現地集合の場所へと急ぎます。遅刻なんてしたら大変です。ピプラゴさんは腕のいい職人ですが、時間にはめっぽう厳しいニンゲンなのでした。


それにパパの仕事は魔法を使った自営業なので、依頼主からの信用も大切です。朝、ママがパパを、厳しくたたき起こすのもその為だったんですね。遅刻を繰り返すようでは、仕事を失うのは目に見えていますから。


「ん? あれは何だろう」


現場へと急ぐパパの目に、ある光景が飛び込んできました。


道路から少し入ったところ、大きな木の根元に小さな女の子が一人でたたずんでいます。ニールよりも、ちょっぴり幼く見えます。パパは仕事の時間も忘れ、自転車を止めました。ニールが生まれる前だったら、気にはなってもそのまま通り過ぎていた事でしょう。


よく観察すると、女の子は、じぃーっと上を見ています。パパは木の上に視線を移しましたが、枝ぶりの良いその大樹にはこれと言って不審な点は見当たりません。


「おっと、いけない。遅れてしまう」


ピプラゴ親方の渋い顔を思い受かべながら、パパは通りを先に急ごうとしました。でも、駄目です。どうしても女の子の事が気になります。


パパは遅刻を覚悟で、自転車を手で押しながら女の子の方へ近づいていきました。


「ねぇ、キミ。何をしているの?」


パパが、優しく声をかけます。


女の子は少し驚いた様子でしたが、すぐに落ち着きを取り戻しました。どことなく幼さが残るパパの雰囲気は、子供には受けがいいんです。


「あのね、おじちゃん。私の可愛い子が、遠くへ行っちゃったの」


女の子が答えます。


お……おじちゃん。


パパはちょっと、ショックです。まぁ、お兄さんと呼ばれようとは思いませんが、やっぱりちょっとショックでした。


僕がおじちゃんなら、ママはおばちゃんだよな。これは、口が裂けても言えないけれど……。


パパは自分を慰めながら、目の前の女の子に再び尋ねます。


「可愛い子って?」


パパがそう言うと、女の子は上を指さしました。パパがその小さな人差し指の先を辿っていくと、木のかなり上の方に赤い風船が引っ掛っています。


なるほどね。あれが、この娘にとっての可愛い子なわけだ。


「あの子はもう、私の所へは戻ってこないの?」


女の子の大きな瞳がパパを見つめ、せつせつと訴えます。


う~ん、どうしたものか……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ