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癒しの剣 (14) ルートベリーのアイスクリーム

カラクリ人形シュプリンの質問に、大魔法使いパーパスは渋々答え始める。

「もちろんじゃ、奴は何も知らんで利用されていただけじゃからな。普通に森の入り口まで連れ出して、仕事の代金を払って帰したよ。


奴はずっと、最初にレリドウが言った話を信じているはずじゃ。……おい、シュプリン。アイスクリームが出てきたのは良いが、スプーンがないぞ」


出された極上デザートを前に、パーパスが文句を言いました。


「スプーンは、もう一つの疑問にお答えいただいてからです。もちろん、素手で食べるのであればご自由に」


シュプリンが、いつもの仕返しをします。パーパスのワガママには、事あるごとに腹を立てていましたからね。


「ホントにお前はイケズじゃのう。天下の大魔法使いが、アイスを素手で食べられるか。で、二つ目の質問は何じゃ? サッサと言わんと、アイスが溶けてしまう」


あくまで、アイス目線のパーパスです。


「もう一つはですね。そもそも何で侯爵の謀反がばれたんです? 話を聞く限り、彼は相当に狡猾だったようですし、簡単に尻尾を掴ませるとは思えない」


なるほど、もっともな疑問ですね。


「ふん、それはじゃな。一流の魔法使いが常にアンテナを張り巡らせていたからじゃよ。パーパスという、並々ならぬ優秀な男がの」


パーパスの鼻の穴が、大きく開きました。鼻息が今にも聞こえてきそうです。


「なーんだ。癒しの剣の話を持ち出したのは、結局、それを自慢したいからだったんですね?


マスター、年寄りの自慢話は嫌われるだけですよ。あぁ、時間の無駄使いでした。もうその偽物の剣で、あなたの脳天を突き刺してやりたい気分ですよ」


口の悪いシュプリンが、あきらめ顔でスプーンを主人に渡します。


「いや、そうでもないぞ。なぜならな、この話はお前にもあながち無関係ではないからじゃ」


待望のアイスクリームにスプーンを入れ、期待に胸を躍らせながらパーパスは言いました。


「はい? 今の話が、私と関係あるですって? ウソはいけませんよ、ウソは」


シュプリンが、半信半疑の顔をします。カラクリ人形なのに、顔色が分かるんです。何せ彼は、パーパスこだわりの逸品ですからね。


「主人をウソつき呼ばわりするとは、とんでもない執事じゃの! ではこれから説明するから、とくと聞けよ」


勝利を確信したかのように、アイスクリームを頬張る魔法使いが言いました。


「お前のボディーは、何十年かごとに新しく作り変えておるが、その中でたった一つ、ずっと変わらないパーツがあるのを知ってるかの?」


パーパスは、意味ありげに問いかけます。


「変わらないパーツ? あぁ、それはメタルハートの事ですね。私の心臓部であり、そこには私の記憶や性格までも全てが詰まっている。


これがあるからこそ、ボディーをチェンジしても私が私でいられるわけです。まぁ、埋め込まれているので、自分じゃ見た事ありませんけどね。ただ存在は、胸の奥に十分感じています。


で、それが何か?」


シュプリンがちょっと口を尖らせます。はぐらかされたと思ったのしょう。


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