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癒しの剣 (11) 意外な展開

王に謁見するが、余りにも意外な展開に、レリドウ侯爵は取り乱す。

「なぁ、レリドウ侯爵よ。一つ忘れていないだろうか。この城には、どんな名医にも勝る存在がある事を」


王様の顔が、いっそう微笑みに満ちていきます。


「と、言いますと……」


侯爵は、ますます訳が分からなくなりました。護衛官は相変わらず厳つい顔で、侯爵の後ろで話を聞いています。


「わからぬか? ”癒しの剣”じゃよ。これに勝る名医はない」


王様の口から出た突拍子もない言葉に、レリドウ侯爵の心の全ては真っ黒なシミに覆われました。


「は? なにを仰せです。癒しの剣は、王様にしか使ってはいけない秘宝ではありませんか。私ごときに使う事は許されません」


侯爵は、慌てて辞退をします。


「いや、だから”お前の功績を鑑みて”と、言っただろう。お前はこれまで私や国の為、大いに尽くしてきてくれた。それも、並大抵の尽くし方ではない。


私はの。そんなお前に、言葉では言えない程の感謝の念を抱いているのだよ。よってお前が癒しの剣を使用する旨を、特別に許可する事にしたのだ」


レリドウ侯爵は悪人ですが、頭の回る人物です。今一体何が起こっているのか、ハッキリとわかって来ました。


「いえ、とんでもない。私ごときが癒しの剣を使うなど……」


心なしか侯爵は、後ずさりをしています。


「さすが、君主に対し忠厚き家臣じゃのう。実に慎み深い。だが余りの遠慮は、かえって無礼じゃぞ」


王様は、相変わらずニコニコしています。


「し、しかし……。あ、何を!」


広間の壁側に控えていた屈強な家臣二人が、素早くレリドウ侯爵の傍へ駆け寄り、彼の両腕をがっしりと掴み立たせました。もうこれでは、どうしようもありません。侯爵の顔はどんどん硬直していきました。


「さぁ、癒しの剣をここに!」


王様が叫ぶと、奥から従者がうやうやしく、豪華な布に包まれた一振りの剣を運んできます。


「お前には長年世話になってきた。その礼に、今回は私手ずからこの剣を振るうとしよう」


これから我が身に起こる悲劇を察し、顔面が真っ青になったレリドウ侯爵の前で、王様が癒しの剣を握りました。


レリドウ侯爵は、もうなりふりなんて構っていられません。


「お、おい。お前、私を助けろ! そのための護衛官だろう。王は正気を失われた!!」


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