表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/238

癒しの剣 (1) 影の森の二人

影の森に住む大魔法使いパーパスとカラクリ人形シュプリン。彼らの間でいつもの”漫才”が始まります。

ここはヴォルノースの影の森。魔物うごめく異形の地。


ま、それはさておいて、その中にひっそりとたたずむ魔法のお家で、いつもの二人がいつもの漫才、いえ、主従のやり取りをしています。


「あ~、腰が痛い、腰が痛い」


大魔法使いのパーパス翁が、地下の魔法書庫から食卓のある一階へ上がって来ました。言葉通り、腰をスリスリさすっています。


「ほら、ほら。そんな事はどうでもいいから、早く席について下さい。全く、さっきから何度呼んでも上がってこないんで、スープが冷めかけてしまってますよ。また温めなおすのは、ご免ですからね」


執事兼召使いのカラクリ人形シュプリンは、左手を腰にあて、右手でレードルを振り回しながらぼやきます。


「お前、何という口の利き方じゃ。もう少し、年寄りを大切にしようという気持ちはないんかの?」


空のスープ皿を前に、パーパスは口を尖らせました。こういうところは、本当に子供みたいです。


「何言ってるんですか。あなたには不老不死の魔法が掛かっているのでしょう? 見た目は確かに頑固な老人ですが、体は健康そのものの筈ですよ?」


シュプリンは作り物の口をカチカチ鳴らしながら、テーブルの真ん中に置いてある、キャロットスープの入った鍋をレードルでかき回しました。


「頑固に見えるかどうかと、健康は関係ないじゃろう。お前は何でそう、一つズレた事を言うんじゃろうな。今の木の体に変えてから、もう三十年はたっとるからして、そろそろ頭のネジが緩んできたようじゃの」


パーパスは、困ったもんじゃと言う顔をしながら、つがれたスープをすすります。そしてニッコリと笑います。シュプリンは口は悪いですが、料理の腕は一流なんです。


有能な料理人は、主人の反応に満足をしながら、


「大体あなたの腰の痛みの原因は、悪い姿勢で長い時間、本を読んだり、酷い時には寝室のベッドではなく、書庫の小さいソファーで一晩眠ってしまうからではありませんか。


あと食べ物も好き嫌いが多い。そういう不摂生が、腰の痛みに繋がっているんですよ」


と、文句を言いますが、牛肉のステーキをのせた皿を主人の前へコトリと置きました。


「あぁ、本当にお前は、古女房みたいな言い方をするな。今度新しい体を作る時には、口をロックできる仕組みでも作ろうかの」


パーパスも負けじと、へらず口を叩きます。


この二人は、いつもこんな感じなんです。それがもう何百年続いているでしょうか。


さて、あと少し二人のやり合いを聞いていたいところですが、これではキリがないので話を前に進めます。


パーパスは、赤身のステーキにナイフを入れながら、


「こんな時”癒しの剣”が、あったらなぁ」


と言いました。シュプリンが、初めて聞くアイテムの名前です。


「癒しの剣? 何ですか、それは」


シュプリンが、赤ワインをグラスにつぎながら尋ねました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ