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昇らない お日さま (13) お日さまの所へ

ヴォルノースの森に、朝が来ない! お日さまが昇らないのだ。その秘密を探るため、大魔法使いパーパスが乗り出した。

「やぁ太陽、久しぶり」


パーパスは、出来るだけ明るく声をかけました。


「あ、これはこれはパーパスさま。いったい、こんな所までどうなさったのですか?」


ジェントルマンのお日さまは、うやうやしくこの大魔法使いに挨拶をしました。


パーパスは再び杖を横にしてそこに座りながら、


「いやな、いつもの時間にお前さんが森の上に来ないので、どうしたのかと思ってな」


と、太陽に言いました。お月さまの時の事があるので、パーパスは優しく語りかけます。太陽にまで、オイオイと泣かれては困るからです。


「あぁ、本当にすいません。私としてもパーパスさまのいる森の上に伺いたのですが、あいにくとお月さまが休んでいるようなので……、いえ、決してお月さまを責めているのではありません」


お日さまが紳士らしい、気を使った返事をしました。ただ、パーパスは多少、面倒くさいなと思いました。気を使えば使うほど、話はドンドン遠回りになっていくからです。


「実はな、ここへ来る前、月の所へもよって来たのじゃよ」


と、パーパスは切り出しました。


「えっ? お月さまのところへ?」


それまでは出来るだけ冷静に振る舞おうとしていたお日さまが、少しビックリした表情を見せました。


「あぁ。月は相当落ち込んでいて、もう一歩も今の場所から動けないと言っておるんじゃ」


パーパスは、探るように言いました。これ以上、事をこじらせては大変だからです。


「動けないって? お月さまがですか? ど、どうして」


お日さまはたいそう驚いて、パーパスに詰め寄りました。思いもかけない話を聞いたという面持ちです。


「月が今のお前の言葉を聞いたとしたら、”それは、あなたが一番ご存じなのではないかしら”と、言うじゃろうな」


お日さまがお月さまのようにボロボロ泣かないだろうと判断したパーパスは、いつものズケズケとモノを言う、ちょっと困った老人に逆戻りしました。


「わ、私がですか? そんな……、それはどういう事なのでしょうか」


お日さまは、われを失い取り乱します。彼の発する明るい炎は一気に燃え上がり、ローブをきっちりと着込んだパーパスは汗をかき始めました。


「これこれ、そう高ぶるではない。落ち着きなさい」


大魔法使いはポケットからハンカチを取り出し汗を拭こうとしましたが、ハンカチが見当たりません。


シュプリンめ、ハンカチを入れ忘れおったな。パーパスはそう思いました。でも実際に忘れたのは、パーパス自身の方なんですけどね。


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