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昇らない お日さま (11) お月さまの告白

ヴォルノースの森に、朝が来ない! お日さまが昇らないのだ。その秘密を探るため、大魔法使いパーパスが乗り出した。

「まぁ、恋愛は結構な事じゃが、今回の騒ぎと何か関係があるのかい?」


パーパスは、さっそく聞いてみました。


「……」


お月さまは答えません。普段は執事兼召使いのシュプリンと二人きりの生活をしているお年寄りとしては無理もないのかも知れませんが、乙女の恋愛事情を聞くには多少急ぎすぎな気もしますね。大魔法使いといえど、そういう所はちょっと疑問です。


「答えてくれんかの。わかっているとは思うが、下界では皆が心配しておるのじゃよ」


パーパスの言葉に、お月さまがやっと口を開きます。


「返事が来なくなったのです。しかも突然に……。それまでの手紙にはもちろん、最後に来た手紙にも、イザコザとか厄介事とか、そういう内容は少しもありませんでした。それなのに……」


お月さまが、また大粒の涙を流します。


「行き違いという事もあろう。それからも手紙を出したのかね」


パーパスは、再びお尻の位置を変えながら聞きました。


「えぇ、あれから三度も出しました。もちろん、知らず知らずのうちに怒らせてしまったのならご免なさい、といった言葉もきちんと添えました。でも、返事は全くありません」


お月さまは、更に涙を何粒も流します。


「だから私、もうどうしていいのかわからず、ここから一歩も動けないのです。動く気力すらもうありません」


男女の間には他人の入り込めないものがあるとは思いますが、パーパスは困り果ててしまいました。


「じゃぁ、こうしよう。もう一度、太陽に手紙を書きなさい。そこに、ワシも一筆そえてしんぜよう。返事をよこすようにな。いかに太陽が頑固とはいえ、ワシの願いをむげにする事は出来んじゃろう」


そうなんです。パーパスは大魔法使いとはいえ、一人のニンゲンにすぎません。でも、お月さまや太陽が一目置くような存在なんです。


「ダメです。ダメなんです」


お月さまは、その丸い顔を左右に振りました。


「いつの間にか、手紙を運ぶゴクラクチョウも来なくなってしまったんです。だから、もうどうにもなりません。お日さまに手紙を送る事すら出来ないんです」


お月さまの声は、絶望に打ちひしがれていました。

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