昇らない お日さま (6) 朝食にて
ヴォルノースの森に、朝が来ない! お日さまが昇らないのだ。その秘密を探るため、大魔法使いパーパスが乗り出した。
「あ、バレましたか。まぁ、私は作り物の人形ですので、涙を流せませんからね。今度、体を作り直す時には、泣く事が出来るようにしてくださいね。今日のお詫びとして」
「あぁ、わかった。わかった」
シュプリンの性格を知っているパーパスは、キリがなくなると思い適当に受け流します。
「うーん。しかし、どうしたわけなんじゃろうか? 朝が来ないとは……」
パーパスは、その場で腕組みをして考えます。
「ほらほら、悩んでいたって何も解決しませんよ。まずは着替えて、食堂にいらして下さい。朝ごはんは、とうの昔に出来ていますからね。冷めてしまって、味が落ちても知りませんよ」
シュプリンは、木の関節をキシキシ言わせながら部屋を出て行きました。膝の蝶つがいには潤滑剤を塗った方が良いみたいですね。
着替えをして顔を洗った大魔法使いが食堂にやって来たのは、それから十五分くらいが経ってからでした。シュプリンが、朝ご飯を温めなおしたと文句を言います。でもパーパスは、耳を貸さずに思案します。
「考え事をしながらご飯を食べるのはやめて下さいね。消化に悪いし、何せ作ってくれた人に失礼ですよ」
シュプリンが機嫌悪そうにハムエッグを口に運びます。彼はカラクリ人形ですが、食べたり飲んだりする機能がついているのです。三つ前のバージョンからそうなりました。もちろんシュプリンが、パーパスにしつこくおねだりした結果です。
カラクリ人形の話を、右の耳から左の耳へ素通りさせながらパーパスは更に考えます。
朝が来ないという事は、太陽が昇らないという事だ。もしくは月が引っ込まないとも言えるだろう。ならば……。
シュプリンの小言を聞きながら食事を終えたパーパスは、出かける準備を始めました。
「ワシの帽子を出しておくれ」
パーパスがそう言うと、
「お出かけで? またあの昔ながらの、というか古くさい帽子とその衣装で行くのですか?」
と、シュプリンが呆れた顔をします。まぁ、彼が言うのも無理はありません。だって、パーパスの服装といったら、星の柄がついたゾロッとしたローブに、同じ柄のつばひろトンガリ帽子という、千年は前の魔法使いがしていた恰好なのですから。




