昇らない お日さま (5) パーパスとシュプリン
ヴォルノースの森に、朝が来ない! お日さまが昇らないのだ。その秘密を探るため、大魔法使いパーパスが乗り出した。
「だから、壊れたのかと聞いてとるんじゃ。そもそも朝ならば、なんで天井の明かりをつけるんじゃよ。そんな道理も分からなくなってきたのかね」
パーパスとシュプリンの、いつものやり取りが始まりました。ほんと、いつもこんな感じなのです。もちろん二人とも、それを楽しんでいる部分もあるのですけれどね。
「そんなに言うのなら、地下室にある大時計を見て来たらいかがですか? 私が正しいに決まってますけどね」
シュプリンが提案します。地下室の大時計とは、百万年に一秒も狂わないと言われている魔法のかかった大きな柱時計の事です。町はおろか小さな村さえ存在しない影の森では、正確な時間を知る事は難しく、この大時計は大変に重宝するのでした。
シュプリンの、あまりにもコシャクな言いように、パーパスは「おぉ、見て来てやるともさ。覚えておけよ」と売り言葉に買い言葉を発します。大魔法使いは、早速寝室のドアを開けて地下室へと向かいました。
「あんまり急ぎすぎて、腰を痛めないようにしてくださいね」
シュプリンが、皮肉の追い打ちをかけます。
それから数分後。下の方からドタドタと階段を駆け上がってくる音がしました。
「おい! どういう事だ。もう、とっくに朝の時間じゃないか!」
ねまき姿のパーパスが、血相を変えて叫びます。
シュリンプは、勝ち誇ったように、
「だから、言ったじゃありませんか。マスターも少しは私のいう事を……」
と、言いかけた時、
「いや、それどころじゃない。朝が来ないんじゃぞ? 一体なんで……」
と、パーパスが慌てた顔で叫びます。
「そんな事、私は知りません。それより、やっぱり私の方が正しかったですよね」
シュプリンは、その作り物の顔に満面の笑みを浮かべながら答えます。
「うるさい! それどころじゃないだろう!」
パーパスは部屋のあちこちを見回して、どうにか落ち着こうとしました。
「ひ、ひどい。マスターってば私の事を何だと……」
シュプリンはうずくまり、両手で顔を押さえて泣きました。
「……わ、悪かったよ。……ってか、お前それ、ウソ泣きだよな」
パーパスは反省しつつも、召使い兼執事のカラクリ人形を見やります。




