お髭(ひげ)のニール (2) 退屈ニール
退屈の虫が騒ぎ出したニール。彼が到達したのは……。
こないだ買ってもらった絵本はもう飽きちゃったし、ゲームも一人じゃ出来ないし……。
そうだ!
何を思ったのか、ニールはソファーに寝転んで足をバタバタさせ始めます。でもすぐに飽きてしまい、大人しくなりました。
普段、これをやると、ママに叱られるので、鬼のいぬ間に思いっ切り試してみたのですが、意外とつまりません。
そうとわかると、ニールの中で退屈の虫が騒ぎ始めます。その賑やかさに耐え切れなくなったニールは、ソファーを飛び降り小さな探検に出かける事にしました。
せっかく、パパもママもいないのです。今だけは、ニールがこの家の王様でした。
王様は、どこへだって行けるんだ。
ニールは妙な自信を携えて、住み慣れた我が家を探検し始めます。
まずは台所。料理をしているママの傍へ行くと、いつも「危ないから」と邪険に扱われます。きっとあそこには、とっても素敵なものがあるに違いない。ニールは、いつもそう思っていました。
さぁ、捜索開始です。でもニールは、早速難題に突き当たりました。彼の背が届かない、引き出しや棚が結構多いのです。そして包丁など、危ないものが入っている所には、ママがしっかりとロックをかけて防護されていました。
ママ、恐るべし。
ニールがそう思ったかどうかは分かりませんが、彼は早々に台所の探索を諦めて、地下にある倉庫へと向かいます。そこにはパパの大切なコレクションが、いっぱいあるのをニールは知っていたからでした。
でもニールが見たいと言うと「子供には、まだ早いから」と、追い払われてしまいます。本当は、内緒で買った骨董品をニールに見つけられ、それをママに告げ口されるのを恐れての事なんですけどね。
今日こそ、秘密の宝物を見てやるぞ。
勇んで地下へ向かったニールですが、またしても大人の知恵に阻まれてしまいます。こちらもしっかりと鍵が掛かっていて、彼を締め出しているのです。
王様も意外と不便だな。
そう思いながら、ニールはトボトボと階段を上っていきました。
居間へ戻って来たニールが、再びソファーにデングリ返ります。
あ~、つまんないなぁ。つまんない。ママ、早く帰って来ないかなぁ……。
大人ぶっていても、所詮は八歳のチビッ子です。もう、母親が恋しいのでしょう。
そんなニールの目に、神の思し召しというべきか、悪魔のささやきというべきか、とあるものが映りました。
居間にある、サイドボードの扉が少し開いているのです。そういえば朝ごはんの時、パパとママが揉めていて、パパが何かをサイドボードにしまったように覚えています。
その時ニールは、美味しい卵焼きを食べるのに夢中で気にもしていませんでしたが、今は退屈の虫が彼の中でフェスティバル真っ最中の状態です。ニールは自然に起き上がり、花柄のサイドボードの方へと歩き出しました。
さぁてと、ドキドキワクワクの瞬間です。ニールは隙間から少し中が見える扉に手をかけ、一気に開け放ちます。そこには普段、パパの持っている色々な小物が入っていて、ニールも何がそこにあるのかは知っていました。




