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扉の奥の秘宝 (23) 頭脳明晰

モゼントは自らの話の先を、フューイに次々と読まれ……。

「いや、待て。それはおかしいぞ。お前はギルドからの紹介状を持って、選抜試験に臨んだはずだ。オレも持っているが、そう簡単に偽造できる品ではない。


今回の試験は急に決まったものだから、精巧な偽物を用意する時間はなかったはずだ」


フューイが、淡々と語ります。


「おうよ。確かに、あんたの言う通りだ。だから、俺様が持っていた紹介状は、まごう事なき本物だよ」


「……つまり、ゾルウッドという人物は実在していて、彼の貰った紹介状をお前が奪ったわけか。まぁ、そいつはもう生きてはいまい」


フューイの表情が少し曇ります。もちろん、本物のゾルウッドに会った事はありませんが、突然命を奪われた彼の口惜しさを思うと胸が痛みました。


「やっぱり、あんたは頭がいい。違う出会い方をしていたら、是非、仲間に欲しい人材だよ。実に惜しいねぇ」


「だが、お前が選抜試験で合格する保証なんてないだろう。落ちたらどうする気だったんだ?」


フューイが、問います。


「そしたら合格者を殺っちまって、後釜におさまるだけよ。病気や事故に見せかけて始末するなんざ、お手の物だからな」


「なるほど。だが、どうしてそこまでして、ここへ潜り込んだんだ。鍵が掛かっていては、秘宝も盗めないだろうに」


フューイの意識は、言葉とは裏腹に、更に後ろの兵士へと注がれます。


「その通り、まぁ、ここからが冥土の土産話の本番よ。俺様たちは、かねてからこの宝物要塞に眠る秘宝を狙っていてよ。だが色々調べても、ラチが明かねぇ。


そんな時、鍵の選抜試験の話を聞きつけたんだ。俺様も、昔は一流の鍵士でならした腕利きよ。ま、ちょっとした挑戦心が湧いて来たわけさ。それに合格者は二人だと、予め決まっていたからな。そいつが鍵開けに成功しても、全く問題ないわけだよ。


実際、もう一人の合格者であるあんたが、こうして開けてくれたわけだしな」


「なるほど、それがスパイからの情報か」


フューイが、突然言いました。


「ス、スパイ? お、おめぇ、何でそれを!」


モゼントが思わず、宝箱から腰を浮かします。


「そりゃ、そうだろう。オレは今回の具体的な依頼、つまり宝物庫の鍵を開けるという内容をここに到着してから初めて知らされた。それを事前に知っていたとなると、どこかにスパイを潜り込ませていたと考えるしかないだろう」


フューイは平然と答えます。モゼントが思っている以上に、彼は頭が働くようですね。


「て、てめぇ……、そこまでわかってるのか。感心……というよりも、むしろ恐ろしいぜ。やい、他に何に勘付いている? 言わないと、今すぐ喉元をかっ切ってやるぞ」


モゼントは、次第にイラつき始めました。余裕しゃくしゃくでいた所を、次々とフューイに企みを言い当てられているのですから当然ですね。


「おいおい、そっちが冥土の土産話をしてくるんじゃなかったのか?」


「うるせぇ!さっさと話しやがれ」


モゼントが怒鳴ると、フューイの首にかざされているナイフが、一段と彼の頸動脈に近づきました。


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