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扉の奥の秘宝 (21) 意外な展開

ライバルの細工師ゾルウッドから、意外な一言が……。

フューイは道具を静かに鍵穴から引き抜き、元の箱へと収めます。そして腰掛けていた台を廊下の後ろへと移動させ、自らも立ち上がりました。


フューイの右手が、扉の角ばった取っ手を掴みます。彼に戸惑いが全くないと言えばそれは嘘になりますが、勝利者の余韻に浸りながら、フューイは取っ手を回し、ドアを手前に引きました。


「こ、これは……」


壁に囲まれた宝物庫の中は、意外にも沢山の魔法ランプが設置され、暗さは全く感じません。扉が開くと、自動的に点灯する仕組みになっていたようです。


宝の倉に納めらていた、意外な秘宝を目の当たりにし、フューイは戸惑います。


その時です。廊下の向こう側からドタドタと大きな音が鳴り、その何かはフューイの横を黒い風のように通り過ぎました。


「おぉ、おぉ、これが秘宝か!やっぱりすげぇ。噂にたがわぬ金銀財宝が、山盛りだぜ!」


フューイを追い越し、宝の山の前に陣取ったのはゾルウッドでした。フューイが扉を開き、宝物庫の中へ入ったの見て、一目散に駆けつけてきたのでしょう。


そこら中に散らばった黄金の冠や宝石の数々を手に取りながら、ゾルウッドは狂喜乱舞をしています。


ひとしきり財宝を吟味したゾルウッドは、


「よぉ、あんたやったなぁ。大したもんだ。恐れ入ったとしか言いようがねぇぜ」


中年細工師は、まるで自分の事のように喜びます。でも、おかしいですね。これで勝負はフューイの勝ちです。ゾルウッドには一銭のお金も入りません。ゾルウッドって、お金の事よりもライバルの勝利を喜ぶような男でしたっけ?


「あぁ、しかし……」


フューイが、喋りかけようとすると、


「いや、本当によくやってくれたよ。俺も鍵開けには相当の自信があったんだが、正直言って殆ど手に負えなかった。あんたが今日開けられなかったら、”諦めて”いたところだぜ」


ゾルウッドが、大笑いをしながら言いました。


フューイは、怪訝な顔をします。


「……? 諦めるってどういう事だ。オレが今日、開けられなかったら、あんたが明日、挑戦するはずだろう」


なるほど、それは確かにフューイの言う通りです。ゾルウッドには明日、最後のチャンスが与えられるのに、どうして今日、フューイが開けられなかったら諦めるのでしょうか? もし既に自分自身が鍵を開ける事を諦めていたのだったら、少なくとも前日にゾルウッドが失敗した時に、既に諦めているはずですよね。


「あぁ、そうだな。普通に考えりゃ、確かにそうだ。だけど、そうじゃねぇんだよ」


ゾルウッドの顔が、少しずつ変わっていきます。別に顔の形が変化しているのではありません。人相そのものが、すごく悪くなっていっているのです。


「ワケが分からんな”色々な意味”で。だが、そんな事はどうでもいい。オレはボンシックに報告へ行く。お前はどうする」


鍵開け勝負に勝った事を、微塵も自慢する様子のないフューイ。


「報告? そんな事をしてもらっちゃ困るんだ。せっかくの計画が台無しだからな」


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