修羅の世界では常識(後)
月火と実家に帰っていたので投稿できずすみません。
「お兄ちゃんっ!」
そう言って生徒指導室に入ってきた者はステラ、俺の妹であった。
「我々は外で待ってる」
教師たちは立ち上がり、部屋の外に出る、どうやら2人で話せということのようだ。
「久しぶりだな、ステラ」
「大丈夫なの?」
心配そうに話しかけてくるステラ、俺はこれから彼女にとって酷な話をしなければならない。
「あぁ俺は大丈夫だ、お前が変わっていなくて良かった」
「ごめんなさい…お兄ちゃんがそこまで思い詰めていたなんてしたなくて…」
まぁ少し胸は痛むがこうなる前に大切な者を護れるはずだったのに護らなかった彼女も悪いので別にそのぐらいだ。
「気にしていない、昨日俺が自殺したのは知ってるか?」
「う、うん…助けてあげられなくて本当にごめん…」
ここでステラがいつもと兄の様子が違うことに気付く、少し疑問に思いながらも頭は申し訳なさでいっぱいだ。
「そうだな…俺が兄として喋るのはこれで最後になるだろう、だから心として聞け」
「え…何を言ってるの?お兄ちゃん…?」
彼女は困惑する、今もこれからも彼は自身の兄でいてくれると無意識のうちに思っていたからである。
「いいか?俺…いやノアールが自殺を決意をした最大の理由はお前が寄り添ってくれなかったからだ」
「そ…そんな…で、でも…」
「あぁ分かるぞ、今度は私がいじめられるかもしれない、そう思うと怖くなって声すらもかけれなかったんだろう?そして見てみぬふりをした、そうだろう」
「ご、ごめ―「今更謝って済む問題ではない、もう遅い」
彼女は耐えきれなくなり涙をぽたぽたと流す、それでも俺は言葉をかける。
「泣くな、これがお前が選んだ選択だ、後悔したか?悲しいか?やり直したいか?」
「だがもう無理だ、お前が望む兄はもういない、死んだんだ」
「ッ…うぁ…あぁ…」
「すまないな、俺はお前を守ってやれない、だが覚えていてほしいことがある」
「本当に守りたい者は身近に居る、それらはいつでも居なくなる可能性が転がってる、それがいやだったら強くなれ、何よりも、誰よりも、日常を守れるほど強くなれ」
これは自分自身への戒めでもある、前世は何も守ることもできず死に、それでも仇を討つために人生を捧げても何もできずに死んだ、俺は今度こそは彼女だけでも守り通す。
「もういいのか?」
「あぁ」
俺は彼女が泣きながらも頷くのを見て立ちあがり、外に出る、その背中には迷いがなかった。
私は兄のことで知らせを受け、急いで向かう、心中に渦巻いているのは悲しみと少しの驚きだ。
「気にしていない、昨日俺が自殺したのは知ってるか?」
「う、うん…助けてあげられなくて本当にごめん…」
その表情は落ち着いており、いつもと印象が違うように見える、不思議に思いながらも次の言葉を言おうとしたとき。
「そうだな…俺が兄として喋るのはこれで最後になるだろう、だから心として聞け」
「え…何を言ってるの?お兄ちゃん…?」
そんなことを言われ一瞬で頭が混乱する、そんなことを言われるとは思ってもいなかったからだ。
「いいか?俺…いやノアールが自殺を決意をした最大の理由はお前が寄り添ってくれなかったからだ」
「そ…そんな…で、でも…」
「あぁ分かるぞ、今度は私がいじめられるかもしれない、そう思うと怖くなって声すらもかけれなかったんだろう?そして見てみぬふりをした、そうだろう」
図星だった、もしかしたら次は私がいじめられるかもしれないと思うと声をかける事すらできなくなっていた、私はあわてて謝罪をしようとするが遮られる。
「ご、ごめ―「今更謝って済む問題ではない、もう遅い」
「泣くな、これがお前が選んだ選択だ、後悔したか?悲しいか?やり直したいか?」
「だがもう無理だ、お前が望む兄はもういない、死んだんだ」
「ッ…うぁ…あぁ…」
なぜこんなことを言うのか分からない、だが私が知っている兄はいないことはなんとなく理解できた。
「すまないな、俺はお前を守ってやれない、だが覚えていてほしいことがある」
「本当に守りたい者は身近に居る、それらはいつでも居なくなる可能性が転がってる、それがいやだったら強くなれ、何よりも、誰よりも、日常を守れるほど強くなれ」
その言葉に何とか頷き、彼が外に出ていったのを聞いて耐えきれなくなり、大声をあげて泣く、どうしようもない後悔の念と共に。
しかし私はこれから立ち止まることはないだろう、私は自分の道を行く、もう振り向くことはない。
…彼らが居なかった場合の話をしよう。
そもそもノアールはもっと劣悪な環境下に置かれ、八歳の頃に助けが来るまでほとんどの感情は芽生えず死へと向かうだけの存在であった。
そうして助け出されやく四年をかけて人並みの感情を手に入れた時事件が起こる。
義両親が惨たらしく目の前で殺されたのであった、ノアールは片腕を失う重傷を負うも何とか生き残り、復讐を胸に騎士となるのであった。
犯罪者に容赦のないことから『隻腕の断罪者』と恐れられ、畏怖の対象となっていた。
そんなこんなで騎士になってから十年以上経ち、28歳の頃、汚職を摘発しようとしたところ罪をかぶせられ、処刑の運びとなった。
信頼していた同僚にも裏切られ、民衆も妄信的に国を信じ、味方は誰一人いなくなったのだった。
『なぜ』
『どうして』
『裏切られた』
『許せない』
『殺してやる』
『殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる』
【ククッ…面白い人間だな…どれ、力を授けてやろう】
悲しみは新たなる復讐心に変わり、その身は烈火のごとく怒りに支配され、その感情は怒り一つになる。
『憤怒の騎士』
後に彼はそう呼ばれ、王都を壊滅させ、数多の国を破壊し、その命を終わらせる存在が来るまですべての生命を、命を、破壊し尽くすまで止まれない、止まらない、なぜならば全てを狂気に飲み込まれた廃人だから。
しかしそうはならなかった、彼らが転生していたから、ロアが転生したから、いずれ彼らとロアは出会う運命にある。