子供の国 肆
久しぶりだな。まだこの話は終わらない。
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子供しかいない国。それは健全な子供時代を過ごした者なら誰もが望んだ夢だろう。
鬱陶しく思える親からの支配、学業の操り人形。
それ等から解放され、自由気ままに過ごせる国。
誰しもが憧れる。そうだろう?
もし思っているなら、この国にその理想郷はある。
ただ私には到底ここが理想郷だとは思えなかった。
そもそも子供だけの国。そんな国は秩序が崩壊する。子供だけで店の経営が出来るとは思わないし、防衛機関が成立出来るとも思わない。
だから子供だけの国は崩壊する。というのが私の持論だ。
前述したが、何か気持ち悪いのだ。ある筈の無い現実が目の前に現実として堂々と広がっている。
それが受け入れられない。
だが確かに今私の目の前に和気あいあいとしている子供しかいない町がそれを否定するのだ。
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兎に角、私は目に付いた店の様な建物に入っていった。異国の言語だったが、持ってきた辞書を片手にその看板の文字を読んだ。
どうやら雑貨店の様だ。試しに私は店に入った。
店は明るかった。
だがやはり子供しかいない。幼女が何やら飛び跳ね雑貨を見ている。
皆無邪気だ。私だけが世界に取り残されている。
店の中は賑やかだ。無邪気だ。
会計はどうやら自動の様だ。先程の幼女が雑貨を買っていたが、金を払っている様子も、決済をしている様子もない。
この国では子供は自由なのだ。
なのにどうして、秩序があるのか。未だに謎だ。
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とりあえず今日はここまで。