子供の国 参
次の茶色の扉の先は少し薄暗い部屋だった。人が発って少しした誰もいない部屋のような雰囲気だった。だが相変わらず人の気配はない。
そこには籠に乱雑に服が置いてあった。
・・・・・・子供にするということは、個性の矯正という点もあるのだろう。王はそれも狙った筈。だから・・・・・・
服も全て白かった。
染める必要が無いから昔は白は労働者の布にはよく使われた。
だが今この国に移住する者は滅多に居ない。
これが宝だと私は言いたくないが、大量の服達は持ち腐れとなっている様だった。
今は人もいない。私は気兼ねなく服を着替えることが出来た。
そして私は奥の赤色の扉を開けた。重い。いや、子供の力では。
私を待ち侘びていたのは。
間違いなく、大人が誰一人いない、王が望んだ世界だった。
異様だった。何か気持ち悪い。恐ろしい。
こんな世界は秩序が無い筈だ。だがどうだ? 皆、まるで何も無い様ににこやかに歩いているではないか。可笑しい。この世界は。
・・・・・・だが、この世界に踏み入れたのは私なのだ。それ位の覚悟はしてきている筈だ、大柳。
私は震える足を抑えながら、ゆっくり、拒みながら歩いていく。
・・・・・・
少し早いが、HNY。良いお年を。