報道の町 壱
やあ。
どうだった? 子供の国の話は? 全く嫌な話だろう。子供だけが暮らす国・・・・・・君達はあそこが理想郷だと思うかい? 私の持論だ。上に立つ者が居なければ、集団は行動出来ない。
皆が平等だと皆が指揮を執ろうとして、まとまらないのだ。間も無くあの国も崩壊してしまうだろう。残念な事だ。
勿論それは摂理なのだから、私にはどうする事も出来ないが。
さて次は・・・・・・そうだ、あの話にしよう。
昔、私はとある町を訪れた。正しさを語る町だ。
・・・・・・
舗装された道路を走る、私のバイク。今日も赤いボディが眩しい。今日は舗装路を走れて、何処か嬉しそうだ。
日差しが照りつける、シルバーに染る町。随分現代的だ。・・・・・・君達の町と同じ様に私は感じる。
間も無く看板が見えた。そう思う間に、その間版が通り過ぎる。先程の看板にはこう書かれていた。
「報道の中心の町へようこそ」
全く変な看板だ。報道の中心・・・・・・。その言葉の意味は分からない。
ふと上を見ると、空よりも大きなビルがあった。不思議な事に窓ガラスが全くない。まるでブロックの様だ。無機質な壁に、唯一文字が刻まれていた。
「WPF」
ここでフレンドリーな解説をしてあげよう。WPFとは、World Press Federation ・・・・・・世界報道連盟の略だ。
WPFは私の世界の報道機関を支配している組織だ。要はこのビルがこの世界の報道機関の大元、本部という事。
私は、同じ伝える者として、この町に興味を持って来た。さて、この町に報道という物を学ばせてもらおう。
・・・・・・さて、まず報道という言葉について考えてみよう。
Wikipediaにはこうある。
「報道とは、ニュース・出来事・事件・事故などを取材し、記事・番組・本を作成して広く公表・伝達する行為であり、言論活動のひとつである」
ここから考えると、報道は娯楽とは対極にある。この事を覚えておいて欲しい。
また報道活動は、仕方ないが世論に大きく影響を与える。その為常に報道者は中立でいなければならない。
君達には、この事をよく把握してもらい、この先を読んで欲しい。最低三回は朗読しろ。
・・・・・・読んでいないだろう。やり直し。
よし、ご苦労さま。では、ここからは私がこのビルに見学に行った時の話をしよう。