子供の国 玖
その少年は、周りの子供達と比べ、随分大人びている様に思えた。
「君、ずっと蹲ってて、心配してたんだ」
「・・・・・・そうか」
彼は私の手を握り、席から私を立たせた。
彼に支えられながら、何とか気を取り戻した。本当に・・・・・・恐ろしかった。
「僕、カミヤ。よろしく」
だが、ある程度彼は例に則っていた。周りの子供達と同じ、少し舌っ足らずに、彼は先程の言葉を伝えた。
この国の人間は、全員未成熟だ。私はそれを再認識されられたのだ。
・・・・・・
「・・・・・・へえ、そうなんだ。異国の人なんだね」
学校内の中庭を眺めながら、私とカミヤは世間話に時間を費やしていた。
「そういう君は、ここの人間なのかい」
「そうだよ。ずっとこの国で生きてきた」
彼の顔には、哀しみなんて物は浮かんでいなかった。それどころか、この国で生きている事を誇りに思っている様にも感じる。
私は、彼に気になっていた事を聞いた。
「・・・・・・君は、何処で生まれ、誰に育てられたんだい? 異国人だから、気になってねえ」
あえて私は、怪しまれない様に、少しおどけて言った。
彼は微笑み、私の質問に答えてくれた。
「マザー。マザーっていう僕達のお母さんがいるんだ。皆その人に育てられた」
「マザー・・・・・・?」
「皆のお母さんだよ」
彼の言っている意味が分からなかった。・・・・・・ただ一つ言える事は、この子供達は、皆同じ人物(人ではないかもしれない)に育てられた。それぞれの母親や父親は居ない。という事だ。
それぞれの親が居れば、この国は間違っていると教える者が出てくる。だから全員に等しい教育を施しているのだ。
集団的思考だ。
赤信号、皆で渡れば、怖くない。
皆がそう言っている。だから正しい。
異なる者は許されない。
その事実がこの国にある事が恐ろしかった。




