第八回 お薬マメ知識 ロゼレムは睡眠薬にあらず!
こんにちは~!
第九回、お薬マメ知識です。今回のテーマは、今までのテーマに沿った内容ということで、ロゼレムという薬についてです。
これは今までの睡眠薬とはちょっと系統が違う薬ですが、不眠に使われる薬です。
この薬を説明する時、「睡眠薬」という言葉を使わない医療関係者も多くいると思います。
一般的な睡眠薬というのは、いわゆる「脳を鎮静させる」薬であるのに対して、ロゼレムは「メラトニン受容体」というのを刺激させる薬です。こういう薬は日本ではロゼレムが初めてです。
メラトニン受容体というのは何か? というのを説明する前に、「メラトニンの働き」について説明しようと思います。
メラトニンとは何か?
たいがいの方は、夜になったら眠くなると思います。夜になって眠くなるのは人間にとって当たり前の身体の働きですが、これに関係してるのが「メラトニン」というホルモンです。
メラトニンは脳で分泌されるホルモンですが、網膜から感じる光の量が少なくなると分泌されると言われています。網膜が感じた光の量によりメラトニンの分泌量が変わってくると言われます。
メラトニンは眠気物質と言われるもので、これが脳で分泌されてメラトニン受容体とくっつくと人は眠くなります。
不眠の人は、このメラトニンの分泌などが正常に行われていないせいだという説もあります。
ロゼレムは、メラトニンとは違いますがメラトニン受容体にくっついて作用を発揮するもので、それを「メラトニン様作用」と呼びます。
脳を無理矢理鎮静させる今までの睡眠薬とはまったく作用の仕方が違うもので、メラトニン受容体に働く事により自然の眠りを誘発させる事ができるものです。
ちなみにメラトニン受容体には3つの種類があります。仮にこの三つをMT①・MT②・MT③としましょう。海外からの輸入品であるメラトニンはすべての受容体にくっついてしまうのですが、実はMT③にくっついてしまうと逆に良くない作用を出してしまうと言われています。なので、MT①とMT②にしかくっつかない構造になってるロゼレムは、輸入品のメラトニンよりも睡眠に対して良い効果を発揮します。
ロゼレムは体内の睡眠バランスを整える薬として開発されましたが、それなりに強度の不眠にはやはり普通の睡眠薬などでないと効果はないようです。あくまで、ちょっと睡眠バランスが崩れている人向きですね。
気をつけなければいけないのは、ロゼレムとの飲み合わせの悪い薬……ルボックスとの併用です。
ロゼレムは肝臓で代謝されるのですが、ロゼレムを代謝する物質は、ルボックスによって阻害されます。つまりルボックスを一緒に飲んでると、ロゼレムの代謝の邪魔になってしまうという事です。それにより、ロゼレムの血中濃度がとても高くなってしまうのでとても危険です。
ルボックスは抗うつ剤なので、もともとルボックスを飲んでた人が、内科でロゼレムが処方になってしまうケースが多いのでは?ととても懸念されています。鬱と不眠は繋がりがあるので、同時に処方されてしまう可能性はとても高いと想像できます。当てはまる方は気をつけましょう。
というわけで、ずーっと長々と睡眠関連の記事ばっかりでしたがいかがでしたでしょうか。
次は……まだ決めてませんが、睡眠とはちょっと離れてみようかと思っています。
もし何かネタがあれば(ただの感想でもおっけい)、どしどしお寄せいただければと思いますw
ではでは~。