第七回 お薬マメ知識 睡眠薬・知識編
さてでは第七回です。睡眠薬、続きです!
続きです! とびっくりマークまでつけておいてナンですが、ただの「睡眠薬の分類」の普通の説明です。
睡眠薬には、その持続時間によって種類が分けられてます。まぁこれについては知ってる人もたくさんいるかと思うのですが、入門編ということで。なぜ二回目で入門編?一回目でやるべきでは?というギモンはさておいてください。
まずは、ハルシオンなどの「超短時間型」の睡眠薬。これは、いわゆる「寝付きが悪い」という状態に対して用いられる薬です。マイスリーなどもこれに当たりますね。作用はだいたい2~4時間とされています。なので、飲んで寝ても、数時間で目が覚めてしまう、という人もいます。こういう人はもっと長い時間効く薬に変えてもらいましょう。
次に、レンドルミンなどの「短時間型」の睡眠薬。これもまぁ寝付きが悪い人にも使いますね。
これは超短時間型とどう違うか?というと、まぁそんなに変わらない気もします。超短時間型の方が睡眠導入効果が強い、という印象ですね。超短時間型の薬の方が作用発現するのが早く、身体の中からなくなるのも早いと一般的には言われています。
三番目には、「中間型」と呼ばれるもので、これは作用時間が20時間ほどと言われています。ロヒプノールやユーロジンなどがそれに当たりますね。「早朝覚醒」という「寝付きはいいんだけど、朝早すぎる時間に起きてしまってそれ以降は眠れない」というタイプによく使われます。
最後に「長時間型」と呼ばれるものです。これは長いです。ほんっとに長いです。何しろ、日中にまで効果が及ぶほどです。もっとも、一日中寝かせる為の薬ではもちろんなく、日中に現れる作用は抗不安作用と言われています。中には、半減期(身体の中の薬の濃度が半分になるまでの時間)が24時間以上のものもあったりするようです。
以上、分類についての説明でした。
もちろん、この作用時間というのはただの基準値みたいなもので、実際には人によってほんとに様々です。
超短時間型の薬でも、次の日に眠気が残ってしまう人もいれば、長時間型の薬を飲んでも数時間くらいしか眠れない人。
同じ中間型の薬に分類されていても、こっちだと朝に残ってしまうけどこっちだと大丈夫、って場合もあったりしてほんとに様々なので、実際に飲んでみて効果をみつつどの薬を選ぶか、を決めるのが定石です。
また、不眠の種類に応じて単品で使う事もあれば、二種類、ないしは三種類重ねて飲む場合もあります。寝付きも悪いし寝てもなぜか明け方(下手したら明ける前)くらいに目が覚めてしまう、という人は超短時間型と中間型を重ねてのんだり、中間型を飲んでも夜中に目が覚めてしまう人は長時間型を重ねたり、と個々人によってほんとに色々です。
でもって、今まで説明した薬はすべて「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる系統の薬ですが、その他にも昔から使われている「バルビツール系」(これは依存が形成されやすいためあまり最近で使われる事は少ないです)やドラッグストアなどで最近睡眠薬として売られている成分である「抗ヒスタミン薬」などもあります。
抗ヒスタミン薬は元々アレルギーの薬で、鼻炎や蕁麻疹の薬として一般的には使われていますが、眠気を誘う作用が強いため睡眠薬として売られるようになってきました。でもこれは基本的に睡眠薬ではないので、睡眠薬として連用するべきではないですね。一時的に飲むなら問題ないですが、あまり長期間に渡る場合は素直に病院にかかって本物の睡眠薬を飲む方が身体にもいいです。餅は餅屋ということで。
あとは、抗うつ剤の中で「四環系」と呼ばれる分類の薬は、ひじょーに眠くなるので、ちょっとしたうつ状態で不眠を伴ってる場合に使われたりします。必殺、「うつを寝て治せ」な薬です。
そうそう。ベンゾジアゼピン系の薬は睡眠薬だけではありません。抗不安薬と呼ばれるものも、ベンゾジアゼピン系に分類されます。
抗不安薬と呼ばれるだけあって、日中に飲んだりもする薬なのですが、眠気を誘う作用があるので睡眠薬として用いられたりもします。リーゼやデパスなどが有名ですね。
さらに、抗不安薬は催眠作用の他に筋弛緩作用などもあったりして肩こりにも使われたり、痙攣を抑える作用もあったりなどして「てんかん」に使ったりもします。ほんとに幅広く使われます。
幅広く使われる、というのは、勝手に幅広く使ってもいいというわけでは絶対にないです。
お医者さんの裁量で幅広く、という意味です。もちろん。お医者さんの指示にしっかり従って飲みましょう。
ちょっと特殊……というか、メジャートランキライザーと呼ばれるものを不眠に使ったりもします。抗不安薬はマイナートランキライザーと呼ばれるのですが、それに対してメジャートランキライザーです。ひらがな(というか漢字)で表記すると、抗精神病薬と呼ばれるものです。
ここで注意して欲しいのが、あんまり知られてない、という意味でのマイナー、有名な、という意味でのメジャー、では全然ない事です。
なぜ抗不安薬がマイナートランキライザーと呼ばれ、抗精神病薬がメジャートランキライザーと呼ばれているかは私にはわかりません…。誰か知ってる人いたら教えてください…。
抗精神病薬、というとちょっと怖い印象を与えてしまうかもしれません。が、これは、もう名目上そうするしかないからそう名付けているだけ、みたいなものです。
適応が「統合失調症」となってるのを見たらさらにドキっとしてしまうかもしれませんが、統合失調症じゃなくても使われます。っていうか、ほんとにただの不眠治療に使われる事もものすごく多いですし、うつの治療に使われる事もものすごく多いです。その他色々、みたいな感じです。
一般の人が見たらびっくりするから適応を全部統合失調症にしちゃうのやめてよ~、とか思いますが、まぁ私がいくら叫んでも仕方ないです。そのくらい、なぜ?ってくらい、統合失調症以外に使われる事がめっちゃ多いです。
メジャートランキライザーについては、作用が多岐にわたってる上に、精神科における病態もいろんな病態が複雑に絡み合っていたりするので、薬から病名を判断することはまずもって一般の人には不可能です。というか、病気によっては、病名をつけることは意味がなかったりもする場合もあるので。そこは精神科領域に特有の事なんですけど。まぁ細かく説明してるといくら説明してもし足りない、っていうか私の知識に限界があるので無理、という話もw
話を戻しますが、メジャートランキライザーをただの不眠に使う事も多々あります。あれは強力な精神安定剤とも呼ばれるその通り名の通り、ガツンと眠れます。下手にベンゾジアゼピン系の薬をごちゃごちゃと使うよりは、メジャートランキライザーを一種類使っただけでぐっすり眠れたりします。睡眠の質もそっちのほうが良かったりします。ただ、メジャートランキライザーに特有の副作用もあったりするので、これはしっかりとお医者さんが状態をみながら飲んでもらう薬ではあります。そういう意味では気をつけないといけない薬ですね。
太りやすい薬とかあったりもするので、女性にはちょっと気をつけないといけないものもあります。
おっと、そんな事を言ってる間に、文字数がなんか変な事に……。
これで睡眠薬については終わりにしようかと思ってたのですが、もう一回くらいいけそうなのでいっちゃいますw
ってなわけで、つ・づ・く♪