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第九話 ハーベスト農業学校 その二

 ファンファーレとともに、アレク国王が入場し、生誕祭の夜会が始まった。

 「皆のもの、儂の生誕祝いへの参集、大儀である。今宵は久しく会えなかった遠方の皆とも、旧交を温めようぞ。」

 宰相の音頭で、乾杯のグラスが掲げられた。 

  『『『おめでとうございます。』』』


 しばらく、食事をしながらの歓談が続くと、爵位の上位の者から、アレク国王への挨拶が始まり、祝いの品が献上されている。

 俺の身分は、護国卿ではあるものの、ハーベスト子爵の代行であるから、男爵相当だろうと、のんびり構えていると、公爵の挨拶が終わったところで、誰かを待つように列が止まった。

 「護国卿の番ですぞ。」誰かが教えてくれたので、慌ててレイネとともに陛下の元に行く。

 「陛下、あらためておめでとうございます。私は子爵代行ですから、男爵の方々とともに挨拶すべきかと、思っておりましたが。」

 「なにを言うておる。そちは護国卿ぞ、親族の公爵の次、臣下の侯爵の前の序列となっておる。今後はそう心得よ。」

 「はい、承知しました。我がハーベスト領からは、水鳥の羽で作りました掛け布団と言う、就寝の際に身体の上に掛けるものを、祝いの品として献上させていただきます。お気に召せば光栄です。」

 「なんと、ハーベストでの新しき品か。」

 「陛下が気に入ってくだされば、民にも行き渡るようにしたいと考えております。

 陛下の品は、ここにいるレイネが手ずから縫い上げたもの。我らの想いをお察しくだされば幸いです。」

 「うむ、その方らの新しき品への想い、しかと確かめようぞ。」


 その後も挨拶の行列が続き、ほかの者は、食事と歓談の時間が続いたが、俺の周りはたいへんなことになっていった。

 次から次と、挨拶に人が押し寄せるのだ。やれ、鉄道が開通したことで賑わっているだの、味噌漬けの魚が絶品だとか、ドリームランドに行ってきたが、あんなに楽しかったのは、生まれて初めてだとか。

 俺もレイネも満足に食事をとる暇もない。

 でも仕方ない。皆、嬉しいのだ。俺達になんとか、感謝の気持ちを伝えたいから、一声でも掛けたいと、じっと待っている。そんな皆と話さない訳には、いかないだろ。

 

 挨拶の行列も先程終わったようだ。陛下が退席の挨拶をされる。

 「皆のもの、今宵は儂のために大義であった。

 この場で皆に話すことがある。皆承知のとおり、この国は変わりつつある。

 ハーベスト領がこの国を先導しておる。これからは、皆の領地の在り方もハーベストに習い変えて行かねばならぬ。

 ついては、次代の領主となる者達を育てるために、ハーベスト領に学びに行かせたいと考えておる。

 たが、地位に奢り、民を平民と見下すようでは、学ぶことなどできぬ。

 そこでだ。ハーベスト領に学びに行く者は、その期間を平民とする。

 また、ハーベスト領において、なんら学びの成果が得られなかったと、ハーベストの監察官が判定した者は、領主となることを禁ずる。

 だが、これは希望する者だけに限る。領主になることを禁じられるのを恐れるのであれば、希望しなくてもよい。

 ハーベストの知恵と知識を学ぶ利益と、従来どおりの領地の在り方のままでおるのと、好きに選ぶがよい。」


 こうして、王国の一大改革が始まった。

 果たして、貴族達の選択は、どういうものになるのであろうか。

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